年間販売台数でカローラを抜き、歴代初めての首位に! 81系に受け継がれた刺激的な魅力| 81 SERIES 徹底解剖

ガラリと生まれ変わった81系3兄弟

       
1980年代から2000年代初頭まで日本のアッパーミドルサルーンはマークⅡ3兄弟中心に世界が回っていた。とくに3兄弟が揃った80年代はハイソカーブームを巻き起こすと同時に先頭に立って時代を動かした。
まさに80年代を象徴する一台となったマークⅡ3兄弟を3世代にわたって分析&紹介していこう。
※特集内では特定の車種・グレードを示す場合を除き、各世代を示す表記を一般的な通称となる61/71/81系またはシリーズとしています。

【81 SERIES 徹底解剖】

71系の後を継いで1988年8月にデビューした81系は、来るべき90年代を見据えた「新しい高級車の出発点」をコンセプトに開発された。主な狙いは次の3つ。個性豊かな伸びやかなスタイル、高い運動性能と品位ある乗り心地の両立、高い商品力だ。スタイルについては一目瞭然で、系の直線基調のデザインから一転、丸みを帯びた曲面フォルムを採用。加えて、ワイド&ローのシルエットを作り出すなどトレンドをいち早く取り入れ、新たな時代の幕開けを予感させた。

走行性能も数段レベルアップを果たしている。核となる6気筒エンジンは、71系の1G型を踏襲するもののパワーアップ。また、新たにスーパーチャージャーの1G–GZE型とハイメカツインカムの1G–FE型を迎え入れ、4種類の2L 6気筒エンジンはオールツインカムとなった。このエンジンを支えるシャシーでは、サスペンションを新設計。フロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンを採用し、エンジンの高出力を余裕を持って受け止めるとともに、ハンドリングと直進安定性、乗り心地を高次元でバランス。高い運動性能を獲得した。

>>【画像16枚】マークⅡはハードトップとセダン、チェイサーはハードトップ、クレスタはプレスドア採用のセダンとなる81系

 こうしてガラリと生まれ変わった系3兄弟は、バブル経済の好景気に後押しされて、さらなる発展を遂げていく。その第1弾が1989年8月に追加された7M–GE型エンジンを搭載する3L車で、最上級モデルとしてラインナップに加わった。さらに翌年8月にはマイナーチェンジを実施し、魅力に磨きをかけている。もっとも大きな改良点は、新開発エンジンの搭載だ。

 新たに導入された2.5lの1JZ型エンジンは、3Lエンジンのようなフラットなトルク特性と、2lのような高回転までスムーズに吹け上がるハイレスポンスを併せ持つのが特徴で、NAとツインターボを設定。後者の最高出力は280に達し、3兄弟史上最強ユニットとなった。このエンジンに合わせて、コイルスプリングやショックアブソーバー、ブッシュ類が全面的に見直され、足回りも強化された。このほか、マイナーチェンジではトラクションコントロールやABSの設定拡大とエアバッグが新採用され、安全装備を充実。外装デザインのリファインなどソフト面の強化も行った。4年間というモデルライフを忠実に守った結果、空前の好景気の波に乗ることとなった81系は、爆発的な大ヒットを記録。それは年の年間販売台数でカローラを抜き、歴代初めての首位に立ったことが証明している。こうして、3世代に渡って年代を駆け抜けた3兄弟は大きな成功を収めた。

STYLING

マークⅡはハードトップとセダン、チェイサーはハードトップ、クレスタはプレスドア採用のセダンとなる81系。71系ではチェイサーの全長が短かったが、81系では全車ディメンションは同じ。その一方で3ナンバー車が設定され、前期3Lはサイドモールの厚みによる拡幅のみ、後期3Lおよび2.5Lは前後バンパーを大型化して、全長も拡大している。リアのナンバープレート位置が異なるのもスタイリング上で3車の違いを表す特徴のひとつ。





MINOR CHANGE

3兄弟ともにマイナーチェンジではヘッドライトやグリル、バンパー、ボンネット、リアコンビランプの形状・デザインが大きく変わっている。また、フォグランプがプロジェクター式になるのも特徴だ(マークⅡとクレスタ)。室内ではエアバッグが導入されたこともあり、装着車はステアリングセンターパッドの形状を変更。また、オーナメントがエンブレムから車名となっている。このほか、前期では3Lのみの装備だったアームレストの設定を2.5Lと2Lにも拡大している。








ENGINE

71系から引き継いだ1G型はツインカムの1G-GE型が10ps、ツインターボの1G-GTE型が25psのパワーアップ。マイナーチェンジでは2.5Lの1JZ型(NAとツインターボの2種)が新たに投入され、1G型過給器付きが廃止されている。また、71系と同様、4気筒の1.8Lガソリンと2.4Lディーゼルも用意。この世代のエンジン型式から触媒を示す「U」が省略された。





初出:ハチマルヒーロー 2015年 05月号 vol.29(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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