【1966年生まれのクルマたち】純正で車高調も付いてるの!? 凝ったメカニズムを多数採用し、乗り心地や走行性能で他社をリード|1968年式 スバル 1000 デラックス

スバル1000には車高調整機構が備わっている。専用工具で回すとトーションバーの取り付け角度が変わって車高が変化する。

       
【1968年式 スバル 1000 デラックス Vol.2】

【1】から続く

 富士重工業は、戦前の名門飛行機メーカー中島飛行機に源流を持っている。中島飛行機出身の技術者がスバル1000の開発に携わっており、彼らはF F方式の課題を克服するために、さまざまな新技術を独自に開発し、水平対向エンジンの搭載を選択。これを縦置きにすることでFF方式の課題を克服している。そのほかにも、インボードタイプのフロントブレーキやデュアルラジエーター方式、4輪独立懸架など、凝ったメカニズムを多数採用し、乗り心地や走行性能ではカローラとサニーを凌駕するまでになっていた。

 この時、スバル車に初搭載された水平対向エンジンは、今年で50周年を迎える。低振動かつコンパクトでスロットルレスポンスに優れている水平対向エンジンは、現在、富士重工業が生産するすべてのスバル車に搭載されており、このスポーティーなエンジン特性が最新のレガシィやインプレッサにも脈々と引き継がれている。
 ここで紹介するスバル1000は、1968年8月にマイナーチェンジしたフロアシフトモデル。1969年3月にff-1にモデルチェンジするまでのわずか8カ月間だけ生産されたモデルとなる。

>>【画像20枚】ワンオフした車高調整専用工具など



ダッシュボードは豪華な木目張り。プロペラシャフトのトンネルがないため、フロアがフラットで広々としている。




メーターやツマミは人間工学に基づいて設計。1967年6月に文字盤デザインやバイザーの厚みが変更された。






シートは部品取りのバンから移植。フロントシートは5段階にスライドし、最適なポジションを選択できる。





水平対向4気筒OHVのEA52型エンジン。メインとサブのラジエーターを備え、始動時はサブを使い、一定の水温に達するとメインに循環。温度が上昇すると小型電動ファンで強制冷却を始める。


1968年式 スバル 1000 デラックス(A12)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3930mm
全幅 1480mm
全高 1390mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前/後 1225 / 1210mm
最低地上高 180mm
車両重量 685kg
乗車定員 5名
最高速度 135km / h
登坂能力sinθ 0.355
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 EA52型
エンジン種類 水冷水平対向4気筒OHV
総排気量 977cc
圧縮比 9.0:1
最高出力 55ps / 6000rpm
最大トルク 7.8kg-m / 3200rpm
変速機 前進4段 / 後退 1段 フルシンクロ
変速比 1速 3.540 / 2速 2.235 / 3速 1.524 / 4速 1.038 / 後退 4.100
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 36L
ステアリング型式 ラック&ピニオン
サスペンション 前/後ウイッシュボーン式独立懸架 / トレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前/後 デュオ・サーボ(自動調整式) / リーディング・トレーリング(自動調整式)
タイヤ前後とも 6.15-13 4PR(扁平タイヤ)
発売当時価格 49.8万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 スバル 1000 デラックス(全3記事)

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【1】から続く

photo : EIJIRO AKIMOTO/秋元栄二郎

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