「自分がハンドルを握っていること、エンジンをかけていること、すべてにドキドキして、感動しました」|1968年式 いすゞ ベレット1600 GT ファストバック Vol.3

「いつもと違う音やにおいがしたり、乗りにくさを感じたら、父に相談して直してもらいます」とオーナー。

       
【1968年式 いすゞ ベレット1600 GT ファストバック Vol.3】

【3】から続く

 ファストバックをレストアしている間の思い出は、今もオーナーにとって大切なものとなっている。
「部品をたくさん外して、塗装が終わった後、エンジンを載せたり、いろいろなパーツを磨いてはめたり、私も一緒に手伝いました。寒い冬の間も父は作業してくれました。休みの日や仕事が終わってからも、時間を作って作業してくれました」

 家に持ってきた時は赤いボディだったが、完成したファストバックはパールホワイトで仕上げられていた。それに初心者マークを付けて、いよいよ初めて運転する時のエピソード。

「自分がハンドルを握っていること、エンジンをかけていること、すべてにドキドキして、感動しました」

 旧車も機械であるのは間違いない。でも人の思いが込められることで、クルマも長く生き続けることができる。ここまで愛してもらえば、まさにクルマ冥利につきるといえるだろう。

>>【画像21枚】クーラーがないため、夏場は汎用の扇風機だけでしのぐという。写っていないが、ワイドルームミラーが装着された車内など



当時販売されていた汎用の真空式ブレーキ倍力装置、林製鋼製「ニューバイカ」を装着。作業は父親の丸山さんが行った。






取材車両には1.6LSOHCのG161型エンジンが搭載されていた。前期型では同じG161型という名称ながら、OHV仕様となっていた。


OWNER’S VOICE/生活の足として、毎日乗っています



 息子の保育園の送り迎えにも、ベレットファストバックを毎日使っていて、地元の皆さんの間では有名なクルマとなっている。「いつもと違う音やにおいがしたり、乗りにくさを感じたら、父に相談して直してもらいます」とオーナー。信頼できる「専属メカニック」がいるかぎり、この先もファストバックと一緒の生活は、まだまだ続いていくだろう。


1968年式 いすゞ ベレット1600 GT ファストバック(PR91G)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4005mm
全幅 1495mm
全高 1335mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1245 / 1215mm
最低地上高 125mm
車両重量 975kg
乗車定員 4名
最高速度 170km / h
登坂能力sinθ 0.429
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 G161型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1584cc
圧縮比 9.7:1
最高出力 103ps / 5800rpm
最大トルク 13.6kg-m / 4200rpm
変速機 前進4段 / 後退 1段 オールシンクロメッシュ
変速比 1速 3.207 / 2速 1.989 / 3速 1.356 / 4速 1.000 / 後退 3.592
最終減速比 3.727
燃料タンク容量 40L
ステアリング型式 ラック&ピニオン
サスペンション 前/後ダブルウイッシュボーン・コイル / ダイアゴナルリンク・コイル
ブレーキ 前/後ディスク / ドラム
タイヤ 前後とも6.45-13 4PR
発売当時価格 95.7万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 いすゞ ベレット1600 GT ファストバック(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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