デラックス49万5000円! パブリカとコロナより後に登場。カローラの根幹にある「80点+α主義」の思想|1966年式 トヨタ カローラ 1100 デラックス Vol.1

当時のカタログで「豹の目のように強く精悍」と表現された2灯式ヘッドライト。ウインカーの視認性も非常に高い。

       
【1966年式 トヨタ カローラ 1100 デラックス Vol.1】

 今でこそ国内販売台数1位の座をハイブリッドのプリウスに譲っているが、20世紀末から21世紀初めにかけては、トヨタカローラがその座を独占していた。しかも、33年の長きにわたって一度もライバルの前に屈することがなかったのだから、これを日本の代表車と呼ばずして何というべきか。

 1966年、「花の冠」を意味する英語から名付けられたカローラは、800ccのパブリカと1.5Lのコロナの間を埋める車種として誕生。「あらゆる面で80点以上としつつも、90点以上を超える魅力をいくつも備えていなければならない」とし、後世まで語り継がれることとなる「80点+α主義」の思想は、すでにこの時点でカローラの根幹を成していた。

 カローラよりもわずか7カ月前に発売され、この後強力なライバル関係となるダットサンサニーに差をつけるべく、「プラス100ccの余裕」をうたった4気筒OHV1077ccのK型エンジンの搭載、ヨーロッパを席巻していた4速 フロアシフトの採用、エンジンルームの確保と軽量化を実現するマクファーソンストラットによる前輪独立懸架など、高級感と走行性能の充実、さらには高速 道路時代の到来を主眼に置いた基本設計は、発売と同時に市場に大いに歓迎されることとなった。


>>【画像18枚】デラックスに用意された内装色は全部で5色。ホワイトのボディカラーでは黒、ブルー、レッドの3色から選べる設定で、オーナーはレッドを選んだ内装色など



ボディサイドにモールが付くのがデラックスとスペシャルの特徴。スイッチを入れると同時に飛び出すマグネットアンテナも画期的な装備だった。





デラックスは、トランクリッドとともにリアフェンダーにも専用のエンブレムがつけられる。




ルーフからテールへと流れるように描かれたボディラインの美しさは、オーナーがカローラを選ぶ際の決め手の1つとなった。


1966年式 トヨタ カローラ 1100 デラックス(KE10D)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3845mm
全幅 1485mm
全高 1380mm
ホイールベース 2285mm
トレッド前/後 1230 / 1220mm
最低地上高 170mm
室内長 1680mm
室内幅 1240mm
室内高 1125mm
車両重量 710kg
乗車定員 5名
最高速度 140km / h
登坂能力sinθ 0.405
最小回転半径 4.55m
エンジン型式 K型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1077cc
ボア×ストローク 75×61mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 60ps / 6000rpm
最大トルク 8.5kg-m / 3800rpm
変速比 1速 3.684 / 2速 2.050 / 3速 1.383 / 4速 1.000 / 後退 4.316
最終減速比 4.222
燃料タンク容量 36L
ステアリング形式 ウオーム・セクターローラー式
サスペンション 前/後ストラット独立懸架リーフおよびコイルバネ / 非対称半楕円リーフ
ブレーキ 前/後ツー・リーディング式 / リーディングトレーリング式
タイヤ 前後とも6.00-12-4PR
発売当時価格 49万5000円

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 トヨタ カローラ 1100 デラックス(全3記事)

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text : AKIO SATO / 佐藤昭夫 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU / 清水良太郎

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