4MTに本来着くはずの、スポーツ系のエンブレムがない最初期の仕様|1967年式 ダットサン サニー 1000 デラックス Vol.2

ステアリングはセンターにDマークのある初期タイプ。4速フロアMTのシフトレバーと合わせてスポーティーな印象がある。ラジオとヒーターはデラックスのみの専用装備。むき出しのヒーターボックスにニチラのステッカーが見える。

       
【1967年式 ダットサン サニー 1000 デラックス Vol.2】

【1】から続く

 2016年で生産から50年の時を過ごし、未再生の状態を維持したサニーというだけでも貴重だが、このサニーは4速フロアMTでありながらデラックスのエンブレムしか付かないという、少し不思議な仕様であることにも注目したい。

 サニーはデビュー当初、コラム式の3速マニュアルシフトを採用した。当時の乗用車はコラム式が主流であり、高級感をねらったものだ。一方でカローラは操作性を重視した4速フロアMTを採用。シフトレバーの見た目がまるでトラックのようであり、トヨタ社内では採用に反対意見もあったが、いざ販売が開始されるとカローラのこの戦略はセールス的に成功する。

 1967年にサニーは4ドアモデルの追加といったマイナーチェンジを受け、同時期に、4速フロアMTと3速コラムAT車を新たに設定している。

 サニーは当初スタンダードとデラックスの2グレード。1967年のマイナーチェンジで登場したフロアMT車は通称スポーツシリーズと呼ばれ、この時にスポーツスタンダード、スポーツデラックスというグレードが派生した。

 この文法に従うならば、オーナーのサニーはスポーツデラックスとも考えられる。

>>【画像19枚】トランクリッドにサニー1000とデラックスのエンブレムが付く。 灯火類の製造メーカーである市光工業のブランド名であるEVER WINGの刻印があるテールランプレンズなど





速度計のみのシンプルなメーター。





シートは破れていたため、オリジナルに近い色の生地で張り直している。内張りが本来の色だが、明るめの色も似合う。この年式はシートベルトがない。後部座席へのアクセスは、前席側面のレバーを上げるとシートレールごと前席が倒れる仕組み。乗車定員は5名。



1967年式 ダットサン サニー 1000 デラックス(B10)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3820mm
全幅 1445mm
全高 1345mm
ホイールベース 2280mm
トレッド前/後 1190 / 1180mm
最低地上高 160mm
室内長 1630mm
室内幅 1255mm
室内高 1100mm
車両重量 645kg
乗車定員 5名
最高速度 135km / h
登坂能力 0.422sinθ
最小回転半径 4.0m
エンジン型式 A10型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 988cc
ボア×ストローク 73.0×59.0mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 56ps / 6000rpm
最大トルク 7.7kg-m / 3600rpm
変速機 オールシンクロメッシュフロア式前進4段 / 後退 1段
変速比 1速 3.757 / 2速 2.169 / 3速 1.404 / 4速 1.000 / 後退 3.640
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 35L
ステアリング形式 ボール循環式
サスペンション前/後 ウイッシュボーン横置リーフ / 半浮動式バンジョー型半楕円リーフスプリング
ブレーキ前/後 ツーリーディング式ドラム / リーディングトレーディング式ドラム
タイヤ前後とも 5.50-12-4PR
発売当時価格 46万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ダットサン サニー 1000 デラックス(全3記事)

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【1】から続く

photo : DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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