【1966年生まれのクルマたち】名車として名高いSシリーズも、新車時はセールス的に苦戦していた|1967年式 ホンダ S800

時代と生きた珠玉のスポーツ

       
【1967年式 ホンダ S800 Vol.1】

 ホンダが2輪メーカーから4輪へ進出するために生み出したのが、本格スポーツカーのホンダSシリーズだ。未発売に終わったS360から、市販されたS500、S600へと排気量を上げて動力性能をアップさせた。シリーズ集大成ともいえるS800を登場させたのが1966年のこと。

 今でこそ名車として名高いSシリーズも、新車時はセールス的に苦戦している。今回の特集に登場するほかのクルマたちを見ても分かるように、S800が販売を開始した1966年は、日本でようやくファミリーカーが一般大衆の手に届くかといった頃であり、そんな時代に2人乗りのスポーツカーに乗れるのは一握りの人に限られた。お金のない若者にとって、Sは手に入れたくても届かない高根の花だったのだ。

 だからこそ、あこがれを忘れられないものだ。製造が終了し、中古車として出回るようになると、Sの人気は再燃する。そして誕生から半世紀を迎えてもなお、このスポーツカーは愛好家の心をつかんで離さない。

>>【画像39枚】ホンダSシリーズに共通の、特徴的なデザインのヘッドライトリム。下側はスモールランプになっているヘッドライトなど



> この個体はイギリス仕様で、国内仕様とは異なりフロントにはダンロップ製のディスクブレーキが装備されている。リアはドラムブレーキで、サスペンションはリジッドアクスル仕様。このタイプは一般にMk1とも呼ばれる。フロントグリル内のウインカーは、仕向地によって大型のものもある。ボンネットのバルジがS800の特徴だ。





> 真横からボディを眺めると、レストアの出来具合がよく分かる。ドアのチリがぴったり合い、前後バンパーが水平で美しい。



1967年式 ホンダ S800(AS800)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3335mm
全幅 1400mm
全高 1215mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1162 / 1150mm
最低地上高 190mm
室内長 840mm
室内幅 1195mm
室内高 935mm
車両重量 725kg
乗車定員 2名
最高速度 160km / h
0→400m加速 16.9秒
登坂能力sinθ 0.363
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 AS800E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 791cc
ボア×ストローク 60.0×70.0mm
圧縮比 9.2:1
最高出力 70ps / 8000rpm
最大トルク 6.7kg-m / 6000rpm
変速比1速 4.001 / 2速 2.400 / 3速 1.613 / 4速 1.143 / 後退 4.572
最終減速比 4.714
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル / 5リンクリジッド・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / ドラム
タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
発売当時価格 65.3万円

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ホンダ S800(全4記事)

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photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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