DOHCエンジンに換装！　構造変更手続きも自分で行い、普通に車検もパスする仕様に｜1968年式 いすゞ フローリアン デラックス

ベース車は、1.6L直列4気筒OHVエンジンを搭載したファミリーセダン。しかし、シャシーを共用するいすゞ117クーペの存在に着目したオーナーは、外観の印象はそのままに、中身を刷新したホットなスポーツセダンを造り上げた！

【1968年式 いすゞ フローリアン デラックス　Vol.2】

【1】から続く

　ベースは1968年式のフローリアン1600デラックス。12年前に旧車ショップから購入した。

　オーナーはプロのメカニックで、自動車販売会社に勤務している。整備部門は指定工場であり、その自動車検査員として活躍。クルマの整備に関してはプロ中のプロというわけだ。フローリアンはオーナーのプライベートカーとはいえ、自分の知識と経験を最大限に生かして、車体や機構などの構造変更の手続きも自分で行った。当然車検も通常の整備でパスする仕様となっている。「ワンオーナー車で、無改造、無欠品、ボディの腐りもない程度のいい個体でした。そのショップを信用して、写真による確認だけで購入を決めました」とオーナー。

　ベース車のエンジンは1.6L直列4気筒OHVのG161型だが、それをいすゞ117クーペ・スターシリーズのG200W型2L直列4気筒DOHCに換装。ミッションは5MT化、さらにパワーアップへの対処として、4輪ディスクブレーキを装着している。つまり主要パーツは、フローリアンとシャシーが共通である117クーペのものを流用している。そして何より、ほとんどのパーツが加工もせずに、ボルトオンで装着できたという話なのだ。
　
>>【画像28枚】フローリアンには1600ツーリングスポーツ（TS）というモデルがあったが、OHVツインキャブだった。エンジン房内に無理なく収まるG200W型エンジンなど



左右対称のデザインで、ベース車の雰囲気が残るインパネ回り。しかし3速コラムシフトだったミッションを、フロアシフトの5速クロスレシオミッションに換装している。
 



後付けのタコメーターはオートメーター製。クラシカルなデザインが気に入っているそうだ。





ベース車のフローリアン1600デラックスはベンチシートであり、前後ともにそのまま生かして装着する。コラムシフトからフロアシフトに変更されているが、車検証の乗車定員は6名のままでパスしている。1968年式のため、ヘッドレストも未装着でOKとなる。





フローリアンは1967年11月にデビュー。初期型の特徴は当時珍しかった異形2灯ヘッドライトであり、取材車両もその姿をしっかり保っている。そのデザインはイタリア・トリノに本拠を置くカロッツェリア、ギア社が担当したと言われている。


1968年式 いすゞ フローリアン デラックス（PA20改）
SPECIFICATIONS 諸元
●エンジン:117クーペ2000 XE用G200W型に換装。中期型DOH
C用インテークマニホールド、SUキャブ2連装。ステンレス製タコ足。
●電装系:MDI、ポイントレスキット、プラグコードなどは永井電子機器製。●冷却系:汎用電動ファン、アルミ製シュラウド装着。●サスペンション系:カヤバ製ニューSRスペシャル ショックアブソーバー（S130系クラウン用）、117クーペ用スタビライザー、フロントPF60ジェミニ用コイルスプリング、リア117クーペ用リーフスプリング。117クーペ2000 XG用LSD装着。●ブレーキ系:フロントMK63キャリパー、エンドレス特注パッド、117クーペ用ステンメッシュホース。リア117クーペ後期型用キャリパー、純正パッド。タンデムマスターシリンダー117クーペ用。
●インテリア:フロアシフト化、オートメーター製タコメーター。●タイヤ&ホイール:185/65R14 BSエコピアEX10、クロモドラ・タイプA 14×6J -22。リア5mmスペーサーを使用。


【3】に続く

初出：ノスタルジックヒーロー 2016年 10月号 Vol.177（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1968年式 いすゞ フローリアン デラックス（全3記事）

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【1】から続く