日本のクルマ好きはなぜ、スカイラインにひかれるのだろう|至高のスカイライン

初代から4代目までの各スカイラインについて、モデルごとの魅力を改めて探ってみることに。

       
1957年4月、プリンス自動車工業は新型車プリンススカイラインを発売した。それから60年、今なおスカイラインは日本を代表する乗用車として、人々の心をつかんでいる。今回のスカイライン特集では4代目C110、3代目C10、2代目S50系、そして初代ALSIの各モデルを掲載。それぞれ個性的な個体を集めて、モデルごとの魅力を改めて探ってみることにした。クルマ好きはなぜ、スカイラインにひかれるのだろう。

【至高のスカイライン】

KPGC110

新車以上の輝きを放つケンメリGT-R

1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R

ケンとメリーという若いカップルが登場するCMが放映されたことから、「ケンメリ」の愛称で親しまれた4代目C110スカイライン。高度成長期末期に誕生したこのモデルでは、先代のC10と同様、4ドアセダンや2ドアハードトップ、ワゴンやバンも設定された。1972年の登場から1977年の生産終了までに67万台以上が市場に送り込まれ、歴代スカイラインのなかでも最大のヒットモデルとなっている。


GC10

昭和46年11月13日登録のワンオーナー

1971年式 日産 スカイライン 2000 GT

スカイラインの3代目となるC10は、1968年7月18日に発表され、8月1日から全国で一斉に発売された。当初は1500シリーズの4ドアセダンとバンのみだった。それまで「プリンス スカイライン2000GT‐A/B」と呼ばれた従来のGTは、1500シリーズから2カ月遅れの9月18日に「2000GT」として発表された。


S50D-1

なぞがいくつもあるS50最初期モデル

1964年式 プリンス スカイライン 1500 デラックス

2代目スカイラインとして、プリンス自動車工業が1963年11月に世に送り出したのがS50系スカイラインだ。いわゆるスカイライン神話は、この2代目モデルが生み出したものであり、レースで勝つために造られたスカイラインGTは64年5月に登場する。S4グロリアに搭載されていたG7型水冷直列6気筒SOHCエンジンを、4気筒用に設計されたS50の鼻先を延ばして詰め込み、スポーツベースモデルに仕立てたわけだが、この時代のスカイラインの基本はあくまでも4気筒モデルだと、開発をリードした櫻井眞一郎さんは機会あるごとに述べていた。


S54B-3

いつかはS54B。あこがれが現実に

1967年式 プリンス スカイライン 2000 GT-B

 2代目スカイラインのS50系。1.5L直列4気筒OHVエンジンを搭載して1963年11月にデビューした正統派セダンは、後に運命を大きく転換する出来事に遭遇する。1964年5月、スカイラインGT発売。プリンス自動車工業が第2回日本グランプリレースGT‐IIクラスでの必勝を期するために開発したレース用ベースカーで、グロリア用のG7型2L直列6気筒SOHCエンジンを、S50のフロントノーズを延長して押し込み、スポーツセダンに仕立てたものだ。型式はS54A‐1として差別化を図ったが、あくまでもレース用ベースカーということで、ステアリングをはじめインテリアはS50のものを流用していた。


ALSID-1

奇跡の実動可能な初代スカイライン

1959年式 プリンス スカイライン 1500 デラックス

 1957年のパリ・サロンに出品されたスカイライン。外観デザインは当時のアメリカ車の影響が強いもので、ボンネット先端のエンブレム、補助ライトが埋め込まれた大型グリル&フロントバンパー、サイドモールの採用、テールフィンとアメリカ車の黄金時代を思わせる特別なデザインだった。当時の国産乗用車といえば、ノックダウン生産車を除くとトヨペット・クラウン&コロナ、ダットサン211&210、114が主なラインナップで、その中で最も洗練されたモデルがスカイラインだったと断言できる。もちろん価格も120万円とクラウン・デラックスよりも10万円も高い国産乗用車最上級であった。


櫻井眞一郎フィロソフィー、とは

血の通うクルマを生み出すことに努めた。人間の感覚が最高のセンサー

歴代のスカイラインのキャッチフレーズには「愛」が何度も登場する。ぶれない設計ポリシー

93年前、1929年4月3日は、スカイラインの育ての親として、その名を知られる櫻井眞一郎さん生誕の日。2011年1月に逝去されたが、今なお、スカイラインと櫻井さんのかかわり方は、まさに神話として語り継がれている。その理由の一端をここで紹介する。



初出:ノスタルジックヒーロー 2017年2月号 Vol.179(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


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