量産乗用車世界初のルーフ・ラム圧ベンチレーションなど新機構も満載の初代|1984年式 ホンダ バラードスポーツ CR-X 1.5i Vol.2

トライアングル・メーターバイザーと呼ばれるメータークラスターが特徴的なインパネ。ステアリングはプラモデルにならってイタルボランテのコルサ。

       
【1984年式 ホンダ バラードスポーツ CR-X 1.5i Vol.2】

【1】から続く

 CR‐Xの初代がデビューしたのは1983年のこと。

 バラードのスポーツグレードという位置づけで「バラードスポーツ・CR‐X」の名で世に送り出された。3675mmという現在の軽自動車と300mmも違わない全長のボディには、軽量で耐久性に優れる新素材「H.P.ALLOY(ホンダ・ポリマー・アロイ)」をフロントマスクやフロントフェンダー、サイドシルガーニッシュなどに採用。さらに、前後バンパーを高耐衝撃性や超耐候性を持つ新素材「H.P.BLEND(ホンダ・ポリマー・ブレンド)」とすることで、800kg前後の車両重量を実現し、耐チッピング性能や防サビも達成したのである。

 デビュー当初のエンジンは、新開発の1.5L/1.3LのSOHC。「ベーシックなSOHCエンジンの究極にチャレンジ」というコンセプトのもと開発された両エンジンは、1.5LPGM‐FIのEW型が110ps、1.3LキャブのEV型が80 psを達成。軽量ボディには十分のパワーだが、デビュー翌年にはDOHCのZC型も搭載された。

 一方サスペンションは、新開発の「SPORTEC(スポルテック)サスペンション」を搭載。フロントは形式こそストラットだが、コイルスプリングではなくトーションバーを用いることで、バネ下重量を軽減しつつ、FFの概念を超えた低いボンネットを実現。リアはスペース効率に優れ、応答性の高いトレーリングリンクだ。

 このほか、世界初の電動アウタースライドサンルーフや、量産乗用車世界初のルーフ・ラム圧ベンチレーションなど、注目の新機構も取り入れられた。


>>【画像19枚】発砲ウレタンで型取りし、FRPで成形され再現されたタミヤのプラモデルに付属されていたシュノーケルダクトなど



1.5iのサンルーフ車にはデジタルメーターを採用。タコメーターは、エンジントルク曲線のイメージで表されているとか。





ダッシュボード上には、時計のほかに消費燃費、平均燃費、平均車速など4つの項目を表示するエレクトロニック・ナビゲータを装備。これは、1.5iのサンルーフ車に標準だ。





ルーフベンチレーションから入った走行風は、ここから放出。風量は2段切り替え式で、風向きの調節も可能。



1984年式 ホンダ バラードスポーツ CR-X 1.5i(AF)
全長×全幅×全高(mm) 3675×1625×1290
ホイールベース(mm) 2200
トレッド前/後(mm) 1400 / 1415
車両重量(kg) 815
エンジン型式 EW型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1488
ボア×ストローク(mm) 74.0×86.5
圧縮比 8.7:1
最高出力(ps / rpm) 110 / 5800
最大トルク(kg-m / rpm) 13.8 / 4500
変速比 1速 2.916 / 2速 1.764 / 3速 1.181 / 4速 0.846 / 5速 0.714 / 後退 2.916
最終減速比 4.428
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット / トレーリングリンク
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク /
リーディングトレーリング
タイヤ 175 / 70SR13(前後とも)
発売当時価格 138.0万円

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 05月号 vol.29(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 ホンダ バラードスポーツ CR-X 1.5i(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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