「だったらオレが飼ってやろうじゃないの」SR20DET型の強心臓を積む510ブル|1969年式 日産 ブルーバード 1600 デラックス

クルマの性能はチューニング次第、前オーナーの心意気を感じる加速感。

       
格下モデル。ブルやサニーをそう見る向きがある。確かに車格的にはそうかもしれない。ただ、速さとなるとそうとも言い切れない。例えばこのSR20DET型の強心臓を持つ510ブル。その豪快な加速っぷり、「誰でもかかってこい」といわんばかりだ。

【1969年式 日産 ブルーバード 1600 デラックス  Vol.1】

 サイズ的にも価格的にも手軽。サニーやブルーバードを「このクルマで旧車デビュー」、と考える人は多い。以前と比較し価格は高騰しているが、それでも6気筒2Lクラスに比べれば現実味がある。サイズが小さいからパーツも比較的安く、修理費用も抑えられ、ランニングコスト的にも有利だ。

 購入して5年。この510ブルーバードのオーナーである成子義一さんも、このモデルを選んだ理由は、実は「まずはここから」。実際、夢にみたモデルはハコスカやZだったそうだ。しかし、そこはいたらず、経済面を考慮して、気持ちを現実的なモデルへと切り替えている。そして、この自制心があったからこそ、今、彼が最愛の友とするこの510ブルにめぐり合えた。

「当時は、それが自分にとっての等身大のモデルという気持ちで、小さめの旧車を探していました。そしたら、お客さん(成子さんが経営するタイヤショップのユーザー)を介して、このブルの話が舞い込んできたんです。ハコスカやZにこだわっていたら、、話が来ることはたぶん、なかった。大切にしてくれる510好きを探しているようなクルマでしたから」。

 どんなクルマか、すこし内容を聞いいただけで心がどんどんとその510に傾く。色はゴールドでドラッグをターゲットに製作されたクルマで、エンジンがSR20DET型に換装されていること。そしてエンジンルームに入りきらなくなったラジエーターが、なんとトランクルーム下に移設されていること……。聞けば聞くほど驚いたが、普通の旧車好きには手に負えないようなモンスター510ブルだった。
「だったらオレが飼ってやろうじゃないの……。最終的にそんな気持ちになったわけです」と成子さん。

>>【画像30枚】510用にホイールは2セット所有している。1セットはサーキット走行用で、もう1セットがストリート用で今回装着しているワークの「エクイップ40」。クラシカルと先進のレーシングテクノロジーが同居する、文字通りこの510にジャストなキャラクターだ。100セット限定となるイエローレタリング仕様のセンターキャップも装着ししている




510のエンジンルームを目一杯に使って搭載されたSR20DET型エンジン。エンジン前にあるのはラジエーターではなくインタークーラー(トラスト製大容量前置きタイプ)だ。





エンジンルームに居場所がなくなったラジエーターは、トランクルームの下に移設。そのため、トランク内に「く」の字状の隔壁を設け、走行風が少しでも当たるように工夫してある。リザーバータンクはもちろん、エア抜き用のブリザータンクもきっちり装備。ガソリンタンクやバッテリーもレイアウトされており、荷物は詰めない状態だ。





ホイール、チンスポ、足まわり。スタイリングにもこだわりがある。


1969年式 日産 ブルーバード 1600 デラックス (P510)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:BREタイプフロントスポイラー、グレイストン製ボンネットピン、ドアミラー、オールペイント
■エンジン:SR20DET型換装、IHI製パワータービン、グレッディ製サージタンク
■吸気系:HKS製エアクリーナー、トラスト製ブローオフバルブ、サード製インジェクター(550cc)
■排気系:オールステンレスφ43mmワンオフタコ足+中間ストレート+φ115mm砲弾マフラー
■燃料系:ニスモ製R32GT-R用燃料ポンプ
■点火系:トラスト イリジウムレーシングプラグ
■制御:グレッディ製Profec B-specⅡ、アペックス製パワーFC
■冷却系:ラジエーター&電動ファン(リア移植)、トラスト製インタークーラー、オイルクーラー
■駆動系:OS技研製クラッチ、RB用71Bミッション、ニスモ製強化ミッションマウント、R180LSD
■サスペンション:(F)S130Z用ストラット加工、TRD製ショートショック(5段調整)、スイフト製スプリング(12kg/mm) (R)TRD製ショック(8段調整)、ダウンサス
■ブレーキ:(F)S130Z用純正キャリパー、ディクセル製スリットローター&パッド
■インテリア:コブラ製ローバックシート、ピボット製ブースト/水温/油温/スピード計、ダッツンコンペステアリング(当時モノ)、パナソニック製カーナビ
■タイヤ:ダンロップLM703 (F/R)195/45R15
■ホイール:ワーク エクイップ40 (F)15×7.5J -9 (R)15×9J -6
■その他:LEDテール(アクセル点灯)

【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 ブルーバード 1600 デラックス (全3記事)

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text:ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo:RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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