39.5万円「へんなエンジン音」だった記憶。貴重な2代目パブリカの2U型エンジンモデル|1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス

フロント回りのデザインは2代目パブリカセダンと共通。「イベントで止めておくと、グリルの中をのぞいている人がいます。ラジエーターがあるか確かめているんですかね」

       
昔は各自動車メーカーから、多くの乗用車型商用バンがラインナップされていた。
普段は乗用車のように乗れ、いざとなれば多くの荷物を積むことができる働き者たち。
今あらためて彼らの姿を見ると、懐かしい昭和の風景を思い出さずにいられない。

【1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス Vol.2】

 同じエンジン房内に水冷と空冷を載せ分けること。ラジエーターのありなしだけにとどまらず、多くのパーツが異なるエンジンを載せる決断は、なぜ必要だったのか。想像するに、メーカーとしては1台でも多くのクルマを世の中に売りたかったのではないか。そのためには、少しでも安価なモデルを用意する必要があったのだろう。

【1】から続く

 2代目パブリカの空冷エンジンモデルはセダンとバンに用意されていたが、今となっては残存している個体が極めて少ない、とても貴重な存在だ。今回の取材車両のオーナーであるオーナーは、1年半ほど前にパブリカバン800デラックスを手に入れた。

「私が保育園に通っていたころ、走っていたミニエーストラックが『へんなエンジン音』だった記憶があって、いつかはトヨタの空冷エンジン搭載車に乗ってみたいと思っていました」

>>【画像21枚】140km/hまで刻まれたスピードメーターを中心に、左端に燃料系、右端にオイルとチャージのパイロットランプを備える計器類など



小ぶりながら、バンらしいまとまったデザインになっているサイドビュー。荷室のサイドウインドーには、内側に保護バーが付く。





リアゲートは1枚跳ね上げ式で、リアゲートには曲面ガラスが使われている。





空冷水平対向2気筒OHVの2U-C型エンジンが収まる。ヒーターはエキゾーストパイプの熱を取り込むタイプで、トヨタスポーツ800の燃焼式ヒーターとは仕組みが異なる。



1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス(UP36V)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3675mm
全幅 1460mm
全高 1395mm
ホイールベース 2160mm
トレッド前/後 1235 / 1200mm
荷物室長 1300mm(2名乗車時)、740mm(5名乗車時)
荷物室幅 1220mm
荷物室高 855mm
車両重量 675kg
乗車定員 5名
最大積載量 300kg
最高速度 115km / h
登坂能力sinθ 0.307
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 2U-C型
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 790cc
ボア×ストローク 83×73mm
圧縮比 8.2:1
最高出力 40ps / 5000rpm
最大トルク 6.4kg-m / 3000rpm
変速機 前進4段 / 後退 1段 オールシンクロメッシュ
変速比 1速 4.200 / 2速 2.400 / 3速 1.684 / 4速 1.125 / 後退 4.333
最終減速比 3.890
燃料タンク容量 30L
ステアリング型式 ウォーム・セクタローラ式
サスペンション前/後 独立懸架ストラット式 / 半楕円板バネ式
ブレーキ 前後ともドラム
タイヤ 前後とも5.00-12-4PR U.L.T.
発売当時価格 39.5万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 10月号 Vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス(全3記事)

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【1】から続く

photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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