60年代、休日はレジャーに! ベストセラーを支えた、乗用車感覚のコマーシャルバン47万8500円|1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス

後期型の特徴である、わずかに上側に移動したバンパー。グリルも前期と後期とではデザインが異なる。ポジションランプのレンズ色がクリアからアンバーに変更されている。

       
昔は各自動車メーカーから、多くの乗用車型商用バンがラインナップされていた。
普段は乗用車のように乗れ、いざとなれば多くの荷物を積むことができる働き者たち。
今あらためて彼らの姿を見ると、懐かしい昭和の風景を思い出さずにいられない。

【1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス Vol.1】

 1966年11月にデビューした初代カローラ1100(KE10)をベースに、その商用車版であるカローラバン(KE16V)が登場したのは1967年5月。フロント部分は高級大衆車として大ヒットしたカローラセダンそのままに、リアに多くの荷物が積める広い荷室を備えたカローラバンは、平日は仕事に、休日はレジャーにという、商用車でありながら乗用車的にも使えるクルマという切り口で、ファミリー層にも広く魅力をアピールした。



 外観の違いはあれど、カローラはセダンとバンでエンジンやサスペンションなどがほぼ同じ構造であり、操作系もセダンと同様に4段フロアシフトを採用(後にコラムシフト車も追加)。グレードは実用本位のスタンダードと豪華版のデラックスが用意されており、デラックスでは高感度トランジスタラジオを装備するなど、機能面で乗用車に見劣りしなかった。商用の4ナンバーではなく、乗用の5ナンバーで登録され、ファミリーカーとして使われた個体も当時は数多くあったという。


>>【画像20枚】縦型のテールランプも含め、バックパネル全体の造形はセダンの雰囲気に近い。セダンのデラックスと同じデザインを採用するホイールキャップなど




排気量1200ccを示すフロントフェンダー左右のエンブレム。





ハッチバックは一枚式で、バンパー上から一体で持ち上がる。開けた状態で屋根のようなかたちとなり、雨の日の荷扱い作業の利便性をアピールした。





広い開口スペース。他社では一般的なロッド式の保持ダンパーが見当たらない。





リアシート座面と背面を前に倒すとフラットな荷室となる。背面のロックはレバー1本で解除できる。



1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス(KE18V-D)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3905mm
全幅 1490mm
全高 1400mm
ホイールベース 2285mm
客室荷台長 1480mm(860mm 以下カッコ内は5名乗車時)
客室荷台幅 1220mm(1200mm)
客室荷台高 845mm(835mm)
車両重量 760kg
乗車定員 2(5)名
最大積載量 400(200)kg
最高速度 135km / h
燃料消費率 20km / L
登坂能力sinθ 0.371
最小回転半径 4.55m
エンジン型式 3K型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1166cc
ボア×ストローク 75.0×66.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 68ps / 6000rpm
最大トルク 9.5kg-m / 3800rpm
燃料タンク容量 35L
変速 機フロア式 前進4段後退 1段オールシンクロメッシュ
変速比 1段3.684 / 2段2.050 / 3段1.383 / 4段1.000 / 後退 4.316 / 最終減速比4.444
ステアリング形式 / ウォーム・セクターローラー式
サスペンション前/後 マクファーソンストラット式コイル・リーフスプリング併用 / リジッド・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 5.00-12 6PR
発売当時価格 47万8500円

【2】に続く

初出: ノスタルジックヒーロー 2016年 10月号 Vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年 トヨタ カローラ バン 1200 デラックス(全3記事)

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photo:TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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