373馬力のパワー、43キロのトルクを叩き出すL28改エンジン搭載!  フェアレディZ 1

       
1970 NISSAN FAIRLADY Z
1970年式 日産フェアレディZ


陽光の下で輝くそのボディはショーカーのように美しい。
しかし蹴り足の強さをアピールする足元と、
フードの下で鈍く光るチューニングエンジンがこのZの素性を物語る。
そう、このクルマが目指すのは、1/4マイルの直線コース……。



 1/4マイル(約400m)の直線コースを、どれだけ速く駆け抜けるかを競う最もシンプルなモータースポーツ、それがドラッグレースだ。シンプルなレースだけに、タイムアップに繋がる要素は限定され、決められたレギュレーションの中で好タイムを狙うには、緻密な作業とノウハウを必要とする世界でもある。そしてLメカチューニングの世界は、このドラッグレースの世界で揉まれてきたといっても過言ではない。


 ストックボディとメカチューンエンジンでタイムを出す。この土俵で最速の座に輝くために、多くのチューナーが現在でも日々研さんを積んでいるが、ラウンドエンジニアリング代表、河上隆久さんが所有するこのオレンジZは、Lメカ最速戦線にいるクルマとしては珍しくインジェクション仕様となっている。Lメカチューンの世界では、ここ一発の速さではまだまだキャブに分があり、現にLメカドラッグの最速マシンはキャブ仕様だが、このZも実は負けていない。最速タイムは11秒2台で、一時このタイムはLメカドラッグ最速タイムでもあった。


 ここ数年は内外装の仕様変更や、仙台ドラッグコースの閉鎖などでレースから遠ざかっていたが、いよいよ仙台コースも今年から復活するとあり、このZもレースへの復帰が間近だという。「組んでから3年は開けていない」というエンジンだが、先日富士スピードウェイで行われた『オールフェアレディZミーティング』の出張パワーチェックで計測したところ、373㎰/43㎏-mという数値を記録。「前は370後半は出てたけどね」と河上さんは笑うが、それでも3.2リッターのSOHCエンジンが弾き出す数値としては驚異的だということがわかるだろう。



掲載:ノスタルジックスピード 2013年7月号 Vol.001((記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Takayoshi Suzuki/鈴木貴義 photo:Akio Hirano/平野陽

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