「とにかくドラッグで勝てるエンジンを」ツインターボと組み合わされるイチから組み上げられたエンジン|1972年式 日産 フェアレディ 240ZG|ターボとNAでL型パワーを楽しむ兄弟

ターボとNAで、L型パワーを楽しむ兄弟!!

       
L28型改3.1Lをベースに、旧車のモディファイを楽しむ兄弟がいる。兄はストリートドラッグの世界を振り出しにインジェクションターボにたどり着き、弟はたまたま買ったクルマにのめり込み、気付けばメカチューンのとりことなった。このように兄弟でありながら、クルマとの出合いもチューニングの方向性も違えば、ベースカーも兄はGノーズとワイドボディキットを組んだホワイトの240ZG。弟はGT-R仕様としては最先端の17インチホイール履きのシルバーのハコスカHTと、何から何まで違っている。だからこそ興味がある。同じDNAを持つ2人が、L28型改3.1Lに何を求め、何を得たのかを。スタイルも使う道具も違う兄弟による、L型劇場。これより開演!


【1972年式 日産 フェアレディ 240ZG|ターボとNAでL型パワーを楽しむ兄弟 Vol.1】


「人生の半分を一緒にいるので、もうなくてはならないものになっていますね。クルマ以上の何かを感じています」
 25年前からドライブしているフェアレディ240ZGについて語るオーナー(兄)の顔は、まるで自分の子供について話す親のように愛情にあふれ、柔和だ。今回紹介する240ZGとの接点は22歳からで、L28型を搭載したS130Zを購入し、当時大阪のアンダーグラウンドで流行していたドラッグレースに参戦したのがきっかけだ。それが事故ったタイミングで、ちょうど売りに出ていた現在の愛車と遭遇し購入。気づけば、四半世紀の長きにわたって苦楽を共にしてきたことになる。

 エンジン関係における最大の特徴となるツインターボは、購入時からすでに組み込まれていたものだが、そのまま使い続けているワケではない。今では某有名ショップの社長に収まっている某氏が、まだプライベーターだった頃に、「とにかくドラッグで勝てるエンジンを作ってほしい」と、製作を直訴。約半年がかりでイチから組み上げたL28型改3.1Lは、当時の大阪のストリートでは無敵といっていいほどの戦績を誇ったそうだ。

 その後、ストリートではなく、コースを走る公式のドラッグレースにもチャレンジし、最高タイム10秒8を出すまでになったが、「タイムを出すことがすべてになると、無茶な軽量化もしないといけないし、クラスの違うクルマと走る楽しみがなくなったから」と、ドラッグの世界を引退。それは同時に、Zと熱中するアツい闘いの日々からも距離を置くことを意味していた。


>>【画像35枚】アルミのワンオフサージタンクとオレンジのターボ用カムカバーが織りなすコントラストが、強烈なパワーを物語るエンジンルームなど




リアウイング、リアパネル、バンパーと続くカーボンパーツは、すべてリスタード製だ。リアのボディ下に装着されているディフューザーは、RE雨宮のFD3S用を選んでいるが、140km/hを超えるとその効果を実感できるそう。





TE37Vの17インチは、通常は9.5Jまでしか設定されていないが、リアには限定発売されたSLバージョンの10.5Jを履かせている。タイヤはアドバンのネオバAD08にレタリングを加えて、レーシーさを強調する。





ステアリングコラム上に置かれているのは、オートメーターのタコメーターとシフトライト、その奥にはブリッツのブースト計も見える。



【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年 03月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ターボとNAでL型パワーを楽しむ兄弟(全6記事)

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text : AKIO SATO/佐藤アキオphoto : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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