トップカバーを赤く塗装しているのはヨシムラの仕様をイメージ!! 見た目の派手さ以上に走ることにストイック 〜2017〜|1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.2

USミクニが開発したMSRキャブを6連装。φ48mmは、国内向けのTMRキャブには設定のない特大サイズで、トップカバーを赤く塗装しているのはヨシムラの仕様をイメージ。配管類のレイアウトも美しい仕上がり。

       
「人は見かけによらぬもの」というが、同じことがクルマにも当てはまる。見た目の派手さ、ヤンチャさに気を取られていては、本当のポテンシャルを見失いかねない。そう、ゴールドボディに延長オバフェン、17インチのワイドホイールで固めた見た目が派手なハコスカの真の姿は、サーキット走行を得意とする実戦的なマシンなのだ。戦うために与えられた強力なウエポンとは、φ48㎜のMSRキャブレター。その真髄に肉薄する!

【1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

「以前はソレックスの50PHHを使っていたのですが、調子がイマイチだったんです。そこで思い切ってMSRのφ48mmに変えてみました。単純にデカいサイズだから選んだんですけど、意外なほどに乗りやすく、キャブ交換は成功だったと思います」

 オーナーはこう振り返る。取り付けに関しては、「まつおか」から発売されていた貴重なインマニを使用。そのまま組んだら、ファンネルが大きすぎてタコ足と干渉してしまったことから、インマニとMSRの間にアルミのスペーサーをかませて角度を上向きに変更して取り付けるアイデアも実施した。

 そんなキャブを得たL28型改3.1L仕様は、一般的なφ89㎜ピストンではなく和光製のφ89.5㎜ピストンを使い、排気量を3131㏄にまで拡大している。ここに「20年以上もいじり続けているので、もうどこの製品か分からない(笑)」と話すカムやビッグバルブ、後端6㎜カットを施したLD28型用クランク、亀有製のツインアイドラーギア等をセット。φ48㎜という大口径キャブの実力をフルに発揮できる珠玉のユニットは、こうして整った。


▶▶▶【画像39枚】 6-2-1のタコ足とつながるマフラーは、φ3インチ(φ76.2㎜)のステンレス製。フランジ部分は差し込み式。マフラーからの熱を遮断するため、デフの下などでは遮熱用のバンテージを巻いている。かなりギリギリの状態のスタビとのクリアランスなど



エンジンルームは差別化されている印象が強い。それもそのはず、MSRキャブ、補機類のヒドゥン、US製パーツの多用など、独自のアレンジが仕込まれているのだから。




刻まれた「まつおか」の平仮名が示すとおり、インマニはまつおかがMSR用に製作したもの。





運転席側のタイヤハウス内に忍ばせたブローバイタンクに最短距離でつなぐべく、ブローバイガスの出口をカムカバーの先端に新設。



運転席側のタイヤハウス内部。タイヤとの接触を避けるように薄く作られたアルミのブローバイタンクが確認できた。



1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(GC10)
Specification 諸元
■エクステリア:オリジナル調色ゴールドオールペイント、FRP製ボンネット&トランク、プロテックフロントスポイラー(ゴールド)、ワンオフフロントスポイラー(ブラック)、前後バンパーレス、ワイパー取り付け位置変更、フロント三角窓&リアドアガラスポリカーボネート化、リアウインドー熱線なしガラス交換、須坂自動車オーバーフェンダー2㎝拡大、510スカイライン用フェンダーミラー(取り付け位置変更済み)、69年式ウインカーレンズ、70年式テールレンズ、リアアンダー切り欠き拡大加工
■エンジン:L28型改3.1ℓ(3131㏄)、ボアφ89.5㎜×ストローク83㎜(圧縮比12.2)、和光製ピストン(ピンハイト27㎜)&コンロッド、カム(74度、9.6㎜リフト)、バルブサイズ(INφ46㎜、EXφ36.5㎜)、LD28型クランク(後端6㎜カット)、亀有製ツインアイドラーギア、TIベイビー製アイドラーギアストッパー、オイルパン前溜まり仕様に変更、フラム製オイルフィルター、ヘッドカバー加工(先端出しブローバイ)、フェンダー内蔵ワンオフブローバイタンク&ラジエーターキャビテーションタンク&サブタンク、US製ホースフィッティング
■吸排気系: まつおか製MSR用インテークマニホールド(ワンオフアルミスペーサー付き)、MSRφ48㎜キャブ、特注ステンレスタコ足(6-2-1)、特注ステンレスφ3インチマフラー
■点火系:マロリー製デストリビューター、MSD製ブラスターHVCⅡコイル/タイミングコントローラー/6AL
■冷却系:サイドタンクアルミラジエーター、マッスルカージャパンワンオフファンシュラウド、ステンレスファン、ラジエーターリザーバータンクヒドゥン、キノクニ製オイルクーラー、ランマックス製デフオイル用油温計、プロショット製デフオイルポンプ、デフクーラー&タンク
■燃料系:キノクニ製コレクタータンク(4ℓ)、ホーリー製燃料ポンプ(純正タンク→コレクタータンク)、ニスモ製燃料ポンプ(コレクタータンク→キャブ)、ボッシュ製燃料フィルター
■操舵系:ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング
■駆動系:OS技研製ツインクラッチ、ルート6製 3速クロスミッション+5速0.864フルクロス化、R180デフ(ファイナル3.9)、内田モーターワークス製アルフィンデフカバー、亀有製デフフランジ
■サスペンション:S14用4Hハブ移植、(F)ビルズ製フルタップ車高調(コイル10㎏/㎜)、ロワアームエンドピロ加工、ピロテンションロッド(R)ビルズ製ショックアブソーバー/コイル25㎏/㎜、内田モーターワークス製偏心ブッシュ、自作コイルマウント、ピロ式スタビリンク
■ブレーキ:チルトン製マスターシリンダー、レバー比調整ダイヤル(ペダル)、リアブレーキ油圧バランサー(F)APレーシング製4ポットキャリパー、フローティングφ330㎜ローター(R)APレーシング製4ポットキャリパー+サイドブレーキキャリパー、フローティングφ330㎜ローター
■インテリア:モモレースステアリング、ワークスベル製ラフィックスボス、カーキー製バケットシート(運転席)、ブリッド製バケットシート(助手席)、サベルト製ハーネス、ウィルウッド製オルガンペダル、Defiリンクメーター アドバンスZD/タコメーター、T.A.G.ami P-LAPⅢ、オートメーター製燃料計/燃圧計/電圧計、NGK製A/F計、デフオイル油温計、9点式ロールケージ
■タイヤ:フェデラル595RS(F)215/40R17(R)235/45R17
■ホイール:ワークマイスターM1 (F)17×9J(R)17×10J

【3】に続く

初出:Nostalgic SPEED 2017年3月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(全3記事)

関連記事: L型チューン炸裂!

関連記事: スカイライン

【1】から続く

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : RYOTA SATO(PHOTOROOM-SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING