24年かけてキッチリ熟成したサーキット周回仕様のハコスカ 〜2017〜|1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.1

見た目の派手さ以上に 、走ることにストイック。

       
「人は見かけによらぬもの」というが、同じことがクルマにも当てはまる。見た目の派手さ、ヤンチャさに気を取られていては、本当のポテンシャルを見失いかねない。そう、ゴールドボディに延長オバフェン、17インチのワイドホイールで固めた見た目が派手なハコスカの真の姿は、サーキット走行を得意とする実戦的なマシンなのだ。戦うために与えられた強力なウエポンとは、φ48㎜のMSRキャブレター。その真髄に肉薄する!

【1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.1】

 L型エンジンの面白さ。それは、50年以上にわたる歴史につちかわれたチューニングメニューのノウハウやパーツの豊富さに裏付けされている。軽く振り返えると、キャブ交換に始まり、排気量アップ、ターボ、インジェクションなど、ありとあらゆる手法が試され、どれもが高評価を得るにいたっている。旧車チューニングの世界において、「L型に始まり、L型に終わる」といっても過言ではないのは、そういった背景が存在するからなのだ。
 そしてここでまた1つ、ユニークな素材とめぐり合うことができた。それがMSRキャブだ。これはUSミクニが主にハーレーダビッドソン用に販売した商品の名前で、フラットなスロットルバルブと加速ポンプを持つ新世代のキャブレターである。国内のミクニが販売していたTMRキャブと基本構造は同じなのだが、TMRがφ41㎜までしか設定がなかったのに対し、MSRにはそれ以上のサイズがある。いかにも大排気量のハーレーダビッドソンに対応するための措置だったことがうかがえるが、これが大口径な高性能キャブを必要とするL型チューニングの方向性と合致したのだ。

▶▶▶【画像39枚】「とにかく太いのが履きたかった」という理由で、4ドアのハコスカとしては異例のワーク マイスターM1の17×9Jと10Jに、215/40R17と235/45R17のフェデラル595RSタイヤを装着された足回りなど




24年かけてキッチリ熟成したサーキット周回仕様のハコスカ




見た目の派手さ以上に 、走ることにストイック





6-2-1のタコ足とつながるマフラーは、φ3インチ(φ76.2㎜)のステンレス製となる。フランジ部分は差し込み式だ。マフラーからの熱を遮断するため、デフの下などでは遮熱用のバンテージを巻いている。スタビとのクリアランスもかなりギリギリの状態。



【2】に続く


1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(GC10)
Specification 諸元
■エクステリア:オリジナル調色ゴールドオールペイント、FRP製ボンネット&トランク、プロテックフロントスポイラー(ゴールド)、ワンオフフロントスポイラー(ブラック)、前後バンパーレス、ワイパー取り付け位置変更、フロント三角窓&リアドアガラスポリカーボネート化、リアウインドー熱線なしガラス交換、須坂自動車オーバーフェンダー2㎝拡大、510スカイライン用フェンダーミラー(取り付け位置変更済み)、69年式ウインカーレンズ、70年式テールレンズ、リアアンダー切り欠き拡大加工
■エンジン:L28型改3.1ℓ(3131㏄)、ボアφ89.5㎜×ストローク83㎜(圧縮比12.2)、和光製ピストン(ピンハイト27㎜)&コンロッド、カム(74度、9.6㎜リフト)、バルブサイズ(INφ46㎜、EXφ36.5㎜)、LD28型クランク(後端6㎜カット)、亀有製ツインアイドラーギア、TIベイビー製アイドラーギアストッパー、オイルパン前溜まり仕様に変更、フラム製オイルフィルター、ヘッドカバー加工(先端出しブローバイ)、フェンダー内蔵ワンオフブローバイタンク&ラジエーターキャビテーションタンク&サブタンク、US製ホースフィッティング
■吸排気系: まつおか製MSR用インテークマニホールド(ワンオフアルミスペーサー付き)、MSRφ48㎜キャブ、特注ステンレスタコ足(6-2-1)、特注ステンレスφ3インチマフラー
■点火系:マロリー製デストリビューター、MSD製ブラスターHVCⅡコイル/タイミングコントローラー/6AL
■冷却系:サイドタンクアルミラジエーター、マッスルカージャパンワンオフファンシュラウド、ステンレスファン、ラジエーターリザーバータンクヒドゥン、キノクニ製オイルクーラー、ランマックス製デフオイル用油温計、プロショット製デフオイルポンプ、デフクーラー&タンク
■燃料系:キノクニ製コレクタータンク(4ℓ)、ホーリー製燃料ポンプ(純正タンク→コレクタータンク)、ニスモ製燃料ポンプ(コレクタータンク→キャブ)、ボッシュ製燃料フィルター
■操舵系:ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング
■駆動系:OS技研製ツインクラッチ、ルート6製 3速クロスミッション+5速0.864フルクロス化、R180デフ(ファイナル3.9)、内田モーターワークス製アルフィンデフカバー、亀有製デフフランジ
■サスペンション:S14用4Hハブ移植、(F)ビルズ製フルタップ車高調(コイル10㎏/㎜)、ロワアームエンドピロ加工、ピロテンションロッド(R)ビルズ製ショックアブソーバー/コイル25㎏/㎜、内田モーターワークス製偏心ブッシュ、自作コイルマウント、ピロ式スタビリンク
■ブレーキ:チルトン製マスターシリンダー、レバー比調整ダイヤル(ペダル)、リアブレーキ油圧バランサー(F)APレーシング製4ポットキャリパー、フローティングφ330㎜ローター(R)APレーシング製4ポットキャリパー+サイドブレーキキャリパー、フローティングφ330㎜ローター
■インテリア:モモレースステアリング、ワークスベル製ラフィックスボス、カーキー製バケットシート(運転席)、ブリッド製バケットシート(助手席)、サベルト製ハーネス、ウィルウッド製オルガンペダル、Defiリンクメーター アドバンスZD/タコメーター、T.A.G.ami P-LAPⅢ、オートメーター製燃料計/燃圧計/電圧計、NGK製A/F計、デフオイル油温計、9点式ロールケージ
■タイヤ:フェデラル595RS(F)215/40R17(R)235/45R17
■ホイール:ワークマイスターM1 (F)17×9J(R)17×10J


初出:Nostalgic SPEED 2017年3月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(全3記事)

関連記事: L型チューン炸裂!

関連記事: スカイライン

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : RYOTA SATO(PHOTOROOM-SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING