新車価格は238万円。クラウン2台分以上! 日本が誇る自動車の世界遺産|1970年式 トヨタ 2000 GT Vol.1

国産車初のリトラクタブルヘッドライトが、この2000GT。前期はライトの開閉に3秒ほどかかったが、後期では素早く動くようになった。

       
【1970年式 トヨタ 2000 GT Vol.1】

 トヨタとヤマハの共同開発により生まれたトヨタ2000GT。数ある国産車のなかで、これほど伝説的なクルマは存在しないのではなかろうか。

 2000GTが初めてお披露目されたのは、1965年10月に開催された第12回東京モーターショー。ただしこれは市販車とは細部が異なるプロトタイプだった。続いて人々の目の前に姿を現したのは、1966年5月の第3回日本グランプリで、2台のR380に続いて3位入賞を成し遂げている。そして同年10月には、茨城県の日本自動車研究所における超高速耐久トライアルで、平均時速206.8km/h、連続走行78時間、1万6000kmを走破し、3つの世界記録と13の国際新記録を樹立。このような輝かしい記録を手土産にし、1967年5月に市販された。

 ちなみに当時の新車価格は238万円。クラウン2台分以上になるほど高価だった。しかし2000GTには、その価格に見合ったメカニズムがあった。エンジンは、クラウンに搭載されていた直列6気筒SOHCのM型をベースに、ヤマハの手によってツインカム化された3M型を搭載。ソレックスキャブを3連装し、アルミ製のラジエーターやオイルクーラーを装着。ミッションはオールシンクロメッシュの5速MTを搭載するなど、高度なメカニズムが満載だった。

▶▶▶【画像20枚】ミクニ・ソレックス40PHHの3連装となるキャブ。その横に見えるエアクリーナーが左フロントフェンダー前にレイアウトされているインダクションボックスなど



ボンネット両端には、エンジンルーム内の熱気を排出するためのスリットを設置。黒塗りのフェンダーミラーが後期の特徴だ。




リアのオーバーライダーもフロント同様に後期モデルでは大型化された。併せて、リフレクター内蔵のサイドマーカーのサイズも大きくなった。





ロングノーズ&ショートデッキの美しいスタイリングは、今でも十分に通用するもの。伸びやかなフォルムだが、実際のサイズは思いのほかコンパクトだ。


1970年式 トヨタ 2000 GT(MF10)
Specification 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1170mm
ホイールベース 2330mm
トレッド 前 / 後 1300 / 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 770mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1145kg
乗車定員 2名
最高速度 215km / h
0→400m加速 15.9秒
登坂能力sinθ 0.552
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps / 6600rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5000rpm
トランスミッション型式 前進5段後退1段、オールシンクロ
変速比 1速3.074 / 2速1.838 / 3速1.256 / 4速1.000 / 5速 / 0.866 / 後退3.168
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ドピニオン(15.1)
サスペンション 前後とも ダブルウイッシュボーン
ブレーキ 前後とも ディスク
ホイール 前後とも マグネシウム(5J)
タイヤ 前後とも 165HR-15
発売当時価格 238.55万円


【2】【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 トヨタ 2000 GT(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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