1970年10月。マイナーチェンジ時に登場した2ドアハードトップGT-Rにあこがれたオーナー|1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.2

取材時の12年前にエンジンやミッションも下ろしてフルレストアしたKPGC10 ハコスカ。

       
【1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.2】

【1】から続く

 このように、市販車ながらレースでの使用を前提に開発されたPGC10は、1969年5月に開催されたJAFグランプリレース大会で、トヨタ1600GTと死闘を繰り広げデビューウインを飾った。ここからあの伝説が始まったのだ。

 そして1970年10月のマイナーチェンジ時には、2ドアハードトップGTーR(KPGC10)が登場。PGC10よりもホイールベースが70mm短いためにハンドリング性能が向上し、空気抵抗にも優れることから、運動性能がさらにアップ。これは、セダンより20kg軽い車両重量も大きく貢献している。エクステリアでは、より幅広のタイヤが履けるようリアにはオーバーフェンダーが装着され、全幅は70mmワイドに。このスタイルは当時の若者のあこがれとなり、後にKPGC10のアイコンとなった。

 こうしてさらに競争力が増したKPGC10は、1972年3月に豪雨のなかで行われた富士300kmレースで、高橋国光が操るワークスマシンが優勝。今でも語り草となっている「通算50勝」という金字塔を打ち立てたのだ。そして、レースで活躍したKPGC10にあこがれを抱く人は多く、取材車両のオーナーもそのひとりだった。

▶▶▶【画像22枚】リアフェンダー内部を通る水を、ステップ下ではなくここから排出するようにオーナーが設けた水抜き用穴など



室内はマッハのステアリングが目立つ程度で大きなモディファイはなし。センターコンソール横に見えるのはKS製油圧計。





シートは運転席側のみダットサンバケットに交換済み。この写真では見えないが、レース用オプションのワイドミラーも装着されていた。






1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(KPGC10)
Specification 諸元
全長 4330mm
全幅 1665mm
全高 1370mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前/後 1370/1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1655mm
室内幅 1325mm
室内高 1110mm
車両重量 1100kg
乗車定員 5名
最高速度 200km/h
登坂能力tanθ 0.58
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
トランスミッション型式 O.D付前進5段後退1段、ポルシェタイプ・サーボシンクロ式
変速比 1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 コイルスプリング独立懸架ストラット/コイルスプリング独立式セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45H-14-4PR
発売当時価格 154万円

【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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