「どうせ自己満足の世界なので、もっと悔いなく納得できるようにモディファイしていきますよ」そして希少なTE47への愛 〜2013〜|1975年式 トヨタ スプリンター クーペ 1600 トレノ GT Vol.3

今回の取材のために貼り直されたサイドのGTストライプ。

       
それまでの走り重視姿勢から一転し、美しいプロポーションと豪華装備に性格を変えた40系スプリンタートレノ。
だが、それが災いしたのか、一般ユーザーからの支持を得ることはなかった。しかし、今なお愛し続ける熱狂的愛好家がいる。
今回紹介するオーナーも、2T-G型エンジンに大幅な手を加え、歴史に埋もれた40系に強烈な輝きを与えているのだ!

【1975年式 トヨタ スプリンター クーペ 1600 トレノ GT Vol.3】

【2】から続く

 オーナーは、若い頃にTE47の後継モデルTE61に乗っていた縁もあり、2010年にTE47を購入。目的は、「チューニングしたクルマを思う存分ドライブしたかった」からだ。チューニングをサポートしてくれたのは、偶然に知り合ったレースカー専門のチューナーさんで、エンジンはもともと積まれていたものではなく、別に用意した2T-G型をベースにしている。

 具体的な内容は、3T‐G型エンジン用のクランクとコンロッドを使って排気量アップを狙い、亀有のピストン、ハイカム、バルブまわり、そしてギアトレーンなどのパーツを使って細部を煮詰めるという方法をとっている。

 特に気になるのは、モーテックのコンピューターとジェンビーのスロットルボディによる4スロインジェクション化だろう。これは宮野入さんの「猛々しい吸気音と豪快なパワーが欲しい」というリクエストに応えてセットアップされたもので、カタログ値110psのエンジンが、シャシダイ計測で約160psを絞り出すまでになった。

 このほか、電動式ウオーターポンプのいち早い導入や、オイルフィルターの根元に水を回し、水冷式のオイルクーラーとしている点もユニークだ。

「チューニングのおかげで、まるで別のクルマになりました。どうせ自己満足の世界なので、もっと悔いなく納得できるようにモディファイしていきますよ」と宮野入さん。希少なTE47への愛は、まだまだ底なしに続きそうだ。

▶▶▶【画像19枚】「ステップマフラー」と呼ばれる、つなぎ目ごとに径のサイズを変える製法で作られたワンオフのタコ足と、後につながるこちらもワンオフとなるφ60mmのマフラーなど

OWNER’S VOICE
決して奇をてらっているわけではなく、純粋にTE47というクルマが好きで愛車として選んだオーナー。ここ数年は、富士のジャンボリーでサーキット走行も楽しんでいるそうだが、毎年タイムアップをとげているらしい。







ビルシュタインの車高調とAE86用ディスクブレーキに変更されたフロントサス。リアサスの高さに合わせたため「自分史上最も低い車高」になったとか。





トヨシマのリーフ、TRDの8段調整式ショックがリアサスを支える。





若かりし日に乗れず、ずっと悔いていたチューニングカーに、やっと乗れた喜びを噛みしめているオーナー。「本気で踏むには度胸と気合がいる」と、チューニングエンジンのポテンシャルの高さを絶賛する。


1975年式 トヨタ スプリンター クーペ 1600 トレノ GT
SPECIFICATION.諸元
● エクステリア:マーシャルフォグランプ埋め込みフロントグリル、
GTサイドストライプ貼り直し、ワンオフアルミアンダーガード
● エンジン:2T-G型1918ccボアアップ、圧縮比11.0以上:1、
亀有2T-G型用鍛造φ88.5mmピストン/強化バルブスプリング
(1万rpm対応)/バルブスプリング段付きワッシャー/
ギアトレーンキット1次側/アイドラーギア2次側/クロモリ軽量リフター /強化タペットシム/軽量リテーナー/レース用バルブガイド/
強化タイミングチェーン/カムスプロケットギア/メタルガスケット/
カム(IN292度/EX292度)、3T-G型用クランク/コンロッド/
オイルポンプ、80Aオルタネーター、モーテックM4フルコン、
ジェンビーインジェクション用スロットルボディ、
ボッシュ350ccインジェクター、ヘッドカバー結晶塗装、
海外製5.5Lアルミオイルパン
● 排気系:ワンオフステップタコ足/φ60mmストレートマフラー
● 冷却系:ラジエーター用電動ファン、
デイビスクレイグ製電動ウォーターポンプEWP80L
インプレッサ用流用ワンオフ水冷式オイルクーラー、
● 点火系:クランク角センサー内蔵ワンオフデストリビューター、
MSD 6Aイグニッションコントロール/ブラスター2イグニッションコイル
● 燃料系:ワルブロK393フューエルポンプ×2、キノクニ製コレクタータンク
サード製レギュレーター、燃料フィルター
● 駆動系:戸田レーシング強化クラッチ/3.5kgフライホイール、
TRD4ピニオンLSD
● 足回り:(F)ビルシュタイン車高調、(R)TRD8段ショックアブソーバー/
トヨシマレース用リーフ、AE86用流用ウレタンブッシュ
● ブレーキ:(F)AE86用流用ディスク+逆回転スリットローター、
TE71用マスターシリンダー流用
● タイヤ:ブリヂストン ポテンザRE-01 185/55R14
● ホイール: スピードスター リバーサイド 14×6J
● 内装:モモコルセステアリング、
レカロRS-Gフルバケットシート(シートレールワンオフ)、
トムスレーシングハーネス、モーテック作動用スイッチ



初出:ハチマルヒーロー 2013年 11月号 vol.23(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 トヨタ スプリンター クーペ 1600 トレノ GT(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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