スバル360誕生の場所と時間(えっ、どうやって?)に行ってみよう!〈その3〉|スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第7回 前編

スバル360誕生の町、伊勢崎! スバル360の理念が生まれた場所でスバル360に乗ってしばし物思う。

大貴誠がずっと憧れていた場所、それはスバル360開発者の百瀬晋六さんと工業デザイナー佐々木達三さんが、泊まり込んで語り合ったという伊勢崎の旅館。場所も名前も分からないその旅館を探したくて始まった今回の旅は、たくさんの心に残る寄り道をして、思わぬゴールにたどりついたのです。


 伊勢崎の県道でピタリと動かなくなったレディーバード。JAFに電話して地元の旧車ショップ『SPIRIT GARAGE』までけん引してもらう。応急措置のポイントギャップ調整をして、なんとか運転にこぎつけた。ありがとうございました!

 クルマの調子を気遣いながら、百瀬さんと佐々木さんが泊まった旅館の探索に出発。これがのっけから大変でした。何しろ場所も不明、旅館の屋号も不明。調べる手がかりすらない。「50年前に百瀬さん泊まりました?」と電話で聞いてみるかと伊勢崎全部の宿の電話番号を調べている時、編集部より貴重な情報が! さるスバルOBの方の奥さまが、旅館の「名前だけ」覚えていらした。

 その名は『白水楼』! しかし、問い合わせてみた伊勢崎市役所観光課も商工会議所も「現在はありません。記憶にもありません」。不安になりつつ、名前を頼りに大手町の逓信総合博物館で「群馬県の電話帳調べ」を思いつき、昭和31年の電話帳でついに発見! 32年の電話帳からは消えていたから、ずいぶん前に廃業されたのだ。電話帳にあった住所を控える。しかしその住所は、地名が変わって現在の地図にはない。どうしたものか。伊勢崎に行って聞けばわかるだろうと思ったら、地名どころか、たくさんの人が白水楼をご存じでした。有名な料理旅館だったそうです。

人物 スバル360
白水楼の跡地で、白水楼のご一家と親しくお付き合いがあったという仏壇仏具店ヤマトの奥さまが、
いろいろな昔のお話を教えてくださいました。本当にありがとうございました。


 そこは駐車場になっていました。当時、お向かいの白水楼のご一家と親しくお付き合いがあったという仏壇仏具店ヤマトの奥さまに「ちょうどここからここまでが白水楼さんの敷地」と教えてもらった。ここが、百瀬さんと佐々木さんが酒を酌み交わしながら(想像)、理想を語り合った場所!

 スバル360を停め、その場に立って一人感動する大貴誠。人が見たら「あのヒト何やってるの?」と思うかもしれませんが、今そこに何もなくても、スバル360を生み出した『時代の濃い空気』がそこにちょっとでも残っているのを、確かに感じることができたのです。

スバル360 外観
太田へ出発する朝、木造洋風医院建築で知られる、伊勢崎の『黒羽根内科医院旧館』へ寄りました。


人物 大貴誠

大貴 誠(だいき・まこと) OSK日本歌劇団・元男役トップスター。ノスヒロをむさぼり読んでい
た日本で唯一の歌劇スター。2010年夏、念願のスバル360を入手。このクルマと一緒に日本中を旅す
る予定。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Rueka Aoki/青木るえか photo:Rumi Matsushita/松下るみ

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