ホンダにどっぷり! ネーデルランドの「大人の隠れ家的」空間|オランダ発! ニッポン旧車の楽しみ方 Vol.3

プロのメカニック顔負けのレストアとモディファイをするフォルシュテンボッシュさん(左)。「ホンダ車なら何でも来い! 」といった様子の、話し振りも堂々とした紳士だった。1968年式S800クーペ乗りのマーク・ブラウワーさん(右)はクラブ役員を務める。8年前にインターネットで見つけたこの個体、5年かけて自らレストアして、現在はショーや競技を楽しんでいるそうだ。

       
イギリス、ドイツ、フランスと周囲に自動車生産大国があり、自国では世界的な自動車メーカーが育たなかったオランダ。しかし自動車関連の企業の発祥地であり、古くからレースも盛んに行われてきた国だ。当然ヨーロッパ車が主流となる土地柄ではあるが、熱心な日本車のファンも存在。ビックリするほどの資料を持つ日本旧車マニアにも会うことができた。

【オランダ発!ニッポン旧車の楽しみ方 Vol.3】

【2】から続く

日本車が欧州進出した頃


 訪れたショップはS800クラブのメンバー、ランドール・フォルシュテンボッシュさんの自宅ガレージだった。

「5年くらい前からね、S800を。その技術にとても感心したんですよ。私は10歳のころから伯父に教えてもらいながらクルマに触りだして、免許を取ってすぐに89年式シビックを近所の人から買う機会がありました。その時からホンダにどっぷりです」


▶▶【写真14枚】、スイスで発見したというレストア中のS800が2台並べられ、まるで展示室のようだったフォルシュテンボッシュさんのガレージなど


 きれいで広いガレージと、整理の行き届いたオフィスのような地下作業室。趣味のレストアというにはあまりにも整い過ぎている。フォルシュテンボッシュさんは何をやっている人か。

「飛行機の操縦士です。ときどき成田空港へも行きますよ。でも日本国内を訪れる機会はあまりないです。目的地まで往復のフライトを済ませて帰国したら、あとはその週は自宅で休むだけ」

 まとまった時間をレストアに費やせる、といううらやましい旧車生活。




アンドレアさんのヨタハチとブラウワーさんのエスハチの追いかけっこ。オランダまで来てこんな風景が見られるとは、感激! 「『フグ』って呼んでるこのヨタハチはね、デュッセルドルフで売りに出るってうわさを聞いたから、写真を撮ろうと思って行ったのよ。そしたらね、見た瞬間『恋に落ちて』しまって。買わずにはいられなかったわ。『連れてって。一緒に連れてって』って言われているような気がして」そんな表現でアンドレアさんはこのヨタハチへの愛着を語った。




ドイツからトヨタスポーツ800を持ってきたご夫妻、カート&アンドレア・ヴェントリンクさん。ご主人のカートさんはご覧の通り、屋根を外さないとこのクルマに乗れないのだ。そんなカートさんが直射日光のせいで汗をかきかき、持参した写真を示しながら説明してくれたのが、2人の所有する他の愛車。前期型ダルマセリカ、オランダ経由で輸入したスープラ(日本国内仕様最終型。アウトバーンの国ドイツらしく、リミッター解除済み! )などなど、トヨタづくしの計7台。





【4】に続く

初出:Nostalgic Hero 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

オランダ発! ニッポン旧車の楽しみ方(全4記事)

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text & photo : HISASHI MASUI/増井久志

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