14歳で許された試乗。30年思い続けた1台。横浜で生まれ海を渡った少年が出合った「日本生まれ」のアメリカ車|1979年式ダッジ・チャレンジャー Vol.2

国内仕様のギャラン・ラムダでは特徴的な1本スポークのステアリングが採用されているが、ダッジ・チャレンジャーでは、2本スポークのステアリングとなっているのが大きな違い。センターパッドにはもちろんDODGEの文字が入る。そのほか6連メーターやセンターコンソールはラムダと大きな違いはない。

       
1976年に登場したギャラン・ラムダは1978年からダッジ・チャレンジャーとして北米でも販売された。
そんな日本生まれのアメリカ車に魅せられた横浜生まれ、ハワイ&カリフォルニア育ちの一人の少年の物語

【1979年式ダッジ・チャレンジャー Vol.2】【1】から続く

 一方、アメリカのマッスルカー/ポニーカー市場は縮小傾向となり、クライスラーは、ポニーカー市場に投入していたダッジ・チャレンジャーの販売を1974年に終了させていた。そこで、新たに2ドアモデルを必要としていたクライスラーが、2代目チャレンジャーとして白羽の矢を立てたのがラムダだった。それは、1970年に、三菱重工業とクライスラーの合弁会社として、三菱自動車工業がスタートしたことを考えれば自然な流れだっと言えるだろう。

▶【画像25枚】ボンネットにはDODGEのエンブレムが付く。ラムダはフェンダーのプレスラインに沿って縦長タイプのウインカーが付くのに対して、小振りな横長タイプのウインカーを装着する衝撃吸収ショックアブソーバー付きの大型バンパーなど


 こうして1978年から北米で発売されることとなったダッジ・チャレンジャーに、人一倍心をときめかせていた一人の少年がハワイにいた。横浜で生まれた彼は、10歳でハワイに移住する、その時までに十分なクルマオタク(日本車好き)になっていて、ハワイ移住後も、日本に住む伯父から定期的にクルマ雑誌を送ってもらうほどだった。

 そんな彼がまだ14歳の少年だったある日、チャレンジャーが新車で販売されているダッジのディーラーへ赴むくと、なんと試乗が許された。その時から「いつか欲しい」と思い続け、それから30年以上の月日が流れた後、アメリカ東海岸で、このチャレンジャーを見つけ、現在住まいのあるロサンゼルスまで自走で帰ってきた。これまでもさまざまな日本旧車を探して購入してきたオーナーは、どんなに遠くても直接受け取り、自走で帰宅するという。それを何よりの楽しみとしているのだ。

 



メーターはマイルとkm/hのW表示となっている。





センターパネルにも大きな違いはない。ラジオの下にあるのは電動式リモコンドアミラーの操作スイッチだ。





シート形状にも大きな違いはないが、ラムダでは2.6Lモデルはシックな表皮となっていて、このチェック柄は2Lモデルと同等のもの。


1979年式ダッジ・チャレンジャー
SPECIFICATION 諸元
全長 183.1in
全幅. 65.9in
全高 51.8in
ホイールベース 99.0in
エンジン型式 4G54型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 2555cc
ボア×ストローク 91.1mm×98mm
圧縮比 8.2:1
最高出力 105bhp/5000rpm
最大トルク 139lb-ft/2500rpm
シングルキャブレター
変速機 フルシンクロメッシュ式前進5段・後退1段
最終減速比 3.308
サスペンション 前/後マクファーソンストラット式独立懸架/4リンクコイル式
ステアリング形式 ボール・ナット式
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
ホイール前後とも 14インチアルミ
タイヤ前後とも 195/70HR14

【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 08月号 vol.170(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式ダッジ・チャレンジャー(全3記事)

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text:NOSTALGIC HERO/編集部 photo:AKIO HIRANO/平野 陽

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