奥様も元KP61乗りということもあり、一家の一員としてすっかり馴染んでいるワイドボディ|1980年式 トヨタ スターレット SE Vol.3

板金装以外は、プライベーターであるオーナーがDIYでコツコツと仕上げた。車高やタイヤサイズも納得いくまで何通りも試したそうだ。

       
譲り受けたKP61は、製作途中のTS仕様だった。長く不動状態だったこともあり、いざ走らせてみると、ヘッド、ミッション、ドライブシャフトなど、機関系のあらゆるところからオイル漏れが発生。まずは、各部のシール、パッキン、ガスケット類を総取り換えしてリフレッシュ。その後、前オーナーが目指していたTSスタイルを完成させ、日々の買い物からサーキット走行まで、幅広いステージをカバーするオールラウンドスポーツとして再生した。インパクトのあるルックスと気軽に乗りこなせるカジュアルさのギャップがたまらない。

【1980年式 トヨタ スターレット SE Vol.3】【2】から続く

 なお、市街地ではかなりの異彩を放つルックスだが、奥様が元KP61乗りということもあり、オーナー 一家の一員としてすっかり馴染んでいるようす。2名乗車とボディサイズの変更でフル公認を取得。ワイドボディとはいえ、現行車に比べるとコンパクトで取り回しがよく、トラブルフリーで乗れるので、近所への買い物やちょっとしたドライブなど、マルチに活躍している。

▶▶【画像31枚】軽量化のためにカーペットなどは取り払われているが、コクピットまわりはノーマルのテイストを維持するため、残されているダッシュボードやメーターフードなど

 ちなみに三重県鈴鹿市に住むオーナーのライフワークとなっているのが、半年に1度のペースで楽しむ、鈴鹿サーキットでのスポーツ走行だ。ハードユースに備え、ラジエーターはノーマルだが、油温のヒート対策としてオイルクーラーを搭載。水温は80~90℃、油温も110℃で落ち着き、安定して周回を重ねられるようになった。さすがにハイスピードコースの鈴鹿ではパワー不足が否めないが、壊さずに長く愛車と付き合っていくため、チューニングをエスカレートさせたい欲求を自制。ライトチューンの範囲内で、ローリスクかつローコストなスポーツメイクを実践しているのだ。



OWNER’S VOICE

「コンパクトで小回りが利き、壊れにくいので、タウンライドカーに適していると思いますよ」と、オーナー。普段使いだけでなく、ツーリングやイベント、そしてサーキット走行と、KP61をオールマイティに使いこなしている。



ワイドなルックスに反して、800kg以下までウエイトダウンが図られている。フットワークも入念に煮詰められており、軽快なハンドリングが楽しめる。





サファリブラウンを狙って調合したイエローにオールペイントされた外装など【写真31枚】



中期のSEグレード、シングルキャブモデルがベース。ミッションは標準の4速MTからSグレードの5速MTへと換装している。





ソレックス40PHHはフロート調整のしやすさが気に入っている4型をチョイス。ファンネルは限られたスペースでギリギリの50mmを装着している。





ブレーキキャリパーとローターには、AE86純正を流用している。あくまでもタウンユースがメインであるため、パッドは攻撃性の少ないエンドレスのノンアス系ストリート用を使う。この仕様であっても、車体が軽いこともあって、サーキット走行で使用しても制動力や耐フェード性に不満はないそうだ。





リアダンパーは、オーソドックスな8段階の減衰力調整機能を備えたTRDのAE86用を装着する。奥に見えるブルーのスプリングは4kg/mmのレートだが、1巻半カットして使っている。


1980年式 トヨタ スターレット SE(KP61)
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:当時モノTSワークスフェンダー仕様、ブランウン全塗装
●エンジン:4K-U型(1290cc)、ボアφ75mm、ストローク73mm、圧縮比9.0、強化バルブスプリング
●吸排気系:ソレックス40PHH(4型:アウターベンチュリーφ32mm、メイン130、エア155)、フジツボ製タコ足&ストレートマフラー(φ50mm)、AE86用スポーツ触媒
●冷却系:16段オイルクーラー、亀有製オイルブロック、ステンメッシュホース
●燃料系:ニスモ燃料ポンプ
●駆動系:戸田製軽量フライホイール、強化クラッチ、TRD製LSD(ファイナル3.7)
●サスペンション:(F)AE86用流用車高調、スイフト製スプリング(8kg/mm)、TRD製AR92用ダンパー、ピロロワアーム、 (R)AE86用ダンパー、スプリング(4kg/mm)、ボディ側ピロリンク
●ブレーキ: (F)AE86用ローター&キャリパー流用、エンドレス製パッド
●インテリア:トイボックス#73乱レーシングφ31mmステアリング、大森追加メーター(油温、油圧、水温)、フルバケットシート(左右)、サベルト製4点式ハーネス、7点式ロールケージ(2名乗車登録)
●タイヤ:クムホ V700 (F)175/60R13、
(R)215/50R13
●ホイール:ハヤシストリート コマンド (F)13×8J 、
(R)13×10.0J


初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 トヨタ スターレット SE(全3記事)

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text : HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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