2014年に始動したワイドボディプロジェクト。2016年にオレンジZとブルーZの2台が完成!!|1975年式 日産 フェアレディZ Vol.1

ナローボディに対して220mm拡大し、全幅は1850mmに達している。ここまでワイド化するとなるとやりすぎ感も出がちだが、このボディキットはあくまで自然な仕上がり。

       
L型フルチューンユニットの突き抜けるようなキャブサウンドが東京の大空に響き渡る。オレンジとブルー。スターロードが手掛けた2台のS30フェアレディZが、夜明けの首都高速を駆け抜ける光景は、滑走路をスクランブル発進していく戦闘機と姿が重なる。その理由はなぜか? いずれも極限まで理想を突き詰めたフォルムであるからにほかならない。圧倒的なスピード感と官能的な美しさの、見事なまでの融合。ここでは、懐かしのレーシングシルエットを彷彿とさせる「匠のワイドボディ」に注目したい。

【1975年式 日産 フェアレディZ Vol.1】

 S30フェアレディZは美しい。だれもがほれ込んでしまうスタイルだ。その流麗なシルエットは、衝突安全基準が厳しくなった現代においては、もはや実現不可能なのかもしれない。

【画像41枚】気に入った規格モノの素材がなかったため、1枚モノの鉄板から折り曲げて製作したというグリルなど

 それだけにオリジナルにこだわるオーナーも多い。オーバーフェンダーは240ZG純正のベタ付けタイプが主流だし、リアスポイラーについても然り。「純正風」が大半を占め、大胆なカスタマイズは敬遠される傾向にある。

 そんな現状に一石を投じるのが、「スターロード」が製作したワイドボディキットだ。圧倒的な存在感を醸し出すエアロボディは、当時のワークス風を彷彿とさせるデザインとしながら、独自のエッセンスを盛り込んだ。

 たとえばフロントまわり。スパルタンなバンパーレス仕様としつつ、ボンネット形状に添うようなシャープなラインで造形を行なうことで、それがあたかもオリジナルであるかのようなまとまり感を演出。また、グリルについても、フィンの太さや間隔にこだわったオリジナル品をイチから製作している。プロジェクターヘッドライトはブラックアウトしたうえでLED化し、現代風な顔つきへと変ぼうさせている。

 そして最大の見所といえるのがオーバーフェンダー。大胆にワイド化を遂げたそのフォルムは、圧倒的な存在感を実現しつつも、見るものに違和感を与えない絶妙なラインを描いている。



プロジェクターヘッドライトにクルーズのLEDバルブを装着したヘッドライトも今どき感を引き上げている。ウインカーの位置は悩んだ末に、純正と同様のフェンダー前に設置した。





高さや角度など、3ピースリアスポイラーは何度も仕様変更を重ね、その結果がこのデザインにたどり着いているそうだ。




1975年式 日産 フェアレディZ (S30)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ボディフルレストア、スターロード製ワイドボディキット/グリル、スパークリングオレンジ全塗、プロジェクターヘッドライト、クルーズ製LEDヘッドライトバルブ
■エンジン:L28型改3.2L(300ps仕様)【ヘッド】燃焼室アルゴン+オリジナル形状、半鏡面加工SPL仕様、ポート拡大加工(3.2L専用ビッグポートSPL仕様)(IN)ヘアライン仕上げ(EX)半鏡面仕上げ、ヘッド水圧テスト、上下面研、SPL形状シートカット、79度 Rタイプカムシャフト、46.5/φ38-119mmビッグバルブ、ABB/PBBバルブガイド、ハイパワー・ハイリフト対応バルブスプリング(トリプルタイプ)、専用オフセットリテーナー(チタン製)、強化バルブコッター(タフトライド処理品)、ロッカーアーム選定後表面処理品(パルホス+デフリック)、スライド式カムスプロケット、【ブロック】N42マニアブロックフル加工(クランクキャップボルトサイズUP+ラインボーリング+クランクセンター裏ボーリング+上下面研+ダミー付きボーリング+3.2Lクランク逃げ加工+オイルクリアランス測定+メタル選定+スラックサイドチェーンガイド穴OS加工+ヘッドボルト雌ネジALLヘリサート処理)、ASW製 ショートピンハイトSPLピストン(鍛造品)/86mm フルカウンタークランク/専用H断面ナローSPLコンロッド、F119素材強化メタル、AC専用ATIダンパープーリーキット(強化ポリベルトタイプ)、セルモーターオフセットスペーサー組み込み
■電気系:マロリー製デスビ、ブラックオルタネーター
■吸排気系:ソレックス50PHH、スターロード製オリジナル燃料配管/オリジナルφ48mmステンレスタコ足/オールステンレスローダウンマフラー/レース用燃料ポンプ
■冷却系:スターロード大容量3層オールアルミラジエーター
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチキット、FS5W71Cクロスミッション(亀有スーパークロスミッションギア+ミッションフルOH、R200フルOHニスモLSD(ファイナル4.375)、 B90D90タイプドライブシャフトOH品流用+専用4穴フランジ製作(圧入溶接加工品)
■サスペンション:スターロード製車高調(16段調整式)
オリジナル車高調(F:7kg/mm/R:5kg/mm)、ピロテンションロッド、タイロッドエンド
■ブレーキ:スターロード製(F)4ポットキャリパーキット(R)ディスクキット/マスターバックキット
■インテリア:モモ製JETステアリング、ワークスベル製RAPFIX GTC-R、Defi ADVANCE A1シリーズ(φ80mmタコメーター外周リング製作、φ60mm油温、油圧、水温)、スターロード製クーラーキット、ブリッド製GIASA2(CFRP×2脚)
■タイヤ:ピレリ P7コルサ クラシック(F)235/45R15、 (R)305/35R15
■ホイール:グロースター ブラックカットディスク ブロンズアルマイトリム(F)15×9J -53(Aディスク) 、(R)15×12J -60(Oディスク)


【2】【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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