サンライズレッドが欲しかったオーナーは、ふたたびマーガレットホワイトを手に入れた|1975年式 マツダ コスモAP リミテッド Vol.3

40年の時が流れても、コスモの匂いは消えず。

       
1975年10月にデビューしたコスモAPは、名車であるコスモスポーツからその名を引き継いだ、マツダのスペシャルティーカーだ。誕生から40年を経ても魅力があせることない、コスモAPを愛するオーナーの声をお届けする。

【1975年式 マツダ コスモAP リミテッド Vol.3】

【2】から続く

 当時売られていた新車で、オーナーの目に魅力的に映ったのが赤いコスモことコスモAPだった。本当はイメージカラーであるサンライズレッドが欲しかったが、結局はマーガレットホワイトを選んだ。自分のクルマというよりも、家族で使うクルマとして買うのである。

 普段のお出かけから、冠婚葬祭にも使うかもしれない。それゆえに、派手な赤は選べなかった。グレードはスーパーカスタム、それも2000ccのレシプロエンジン車だった。

リミテッド以外のグレードには本来未装着だが、後付けするオーナーも多かった、前後バンパーに装着された黒いバンパーガードなど【写真25枚】

 このクルマは2年で手放したが、最近になってまたコスモを手に入れたくなった。それも、当時は信頼性が心配で買えなかったロータリーの最上グレードであるリミテッドを。そんな時、知人の紹介でこのコスモに巡り会った。マーガレットホワイトのリミテッド。それはまるで当時のアルバムから出てきたような雰囲気をまとっていた。

 ひさびさにコスモAPの運転席に座ると、はじめて自分の車を手に入れた18歳の時の思い出が、瞬間、匂いとともによみがえってきた。

「でも、すぐに慣れちゃうんだよね、もったいないんだけど」

 仲間と一緒にドライブへ出かけた思い出、一番楽しい時期をともに過ごしたクルマの記憶。40年近い時を経てもあせなかったコスモの匂いは、オーナーに青春時代の思い出を運んできてくれたのだった。

コスモ、思い出の品々

オーナーが購入当時にディーラーからもらったカタログ。表紙には赤いドレスが印象的な宇佐美恵子さん。取扱説明書も当時もの。十代の頃に乗っていたコスモ2000スーパーカスタムの写真には、リミテッド用のバンパーガードが取り付けられていた。





RE-130のエンブレムが13B搭載車であることを主張。





13B型2ローター・ロータリーエンジン。永井電子工業製のセミトラとプラグコードが変更されている以外はノーマルを維持する。






この時代のマツダ車の特徴的な四角いテールパイプ。タイコの脇には、二次空気排出用の細いパイプが装着されている。




1975年式 マツダ コスモAP リミテッド(C-CD23C)
SPECIFICATION 諸元
全長 4545mm
全幅 1685mm
全高 1325mm
ホイールベース 2510mm
トレッド前/後 1380/1370mm
最低地上高 155mm
室内長 1700mm
室内幅 1340mm
室内高 1065mm
車両重量 1220kg
乗車定員 5名
最高速度 195km/h
登坂能力tanθ 0.50
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 13B型
エンジン種類 水冷2ローター・ロータリー
総排気量 654×2cc
圧縮比 9.4
最高出力 135ps/6000rpm
最大トルク 19.0kg-m/4000rpm
キャブレター 2ステージ4バレル
変速比 1速 3.380/2速 2.077/3速 1.390/4速 1.000/5速 0.841/後退 3.389
最終減速比 3.636
燃料タンク容量 65L
ステアリング形式 ボールナット式
サスペンション前/後 ストラット/5リンク式
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ前後とも 185/70SR-14スチールラジアル
発売当時価格 179万5000円

初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 マツダ コスモAP リミテッド(全3記事)

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photo: TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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