「家内も旧車好きなので、一緒にランデブー走行できたら楽しいだろうなと思い」、2台体制に|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT Vol.3

1台目のハコスカのレストアを考えていたオーナー。当時と最新仕様という白と赤の2台態勢とうらやましい旧車ライフを満喫中だ。

       
常識を打ち破るには、並々ならぬ苦労がともなう。これはクルマ作りの世界においても同様。
ハコスカのR仕様にL28型改、ソレ・タコ・デュアルといった王道チューニングを否定するわけではない。
しかし、時には革新も必要だ。創業30年の名門、ヴィンテージ宮田自動車が提案するのは、そんな21世紀流のハコスカメイク。
快適性と安心感、そして走りの楽しさを備えた、新鮮味のあるカスタムを施した1台を紹介しよう。
セレクトしたエンジンはRB20E型。そして足回りなども現代化が施されているのだ。


【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT Vol.3】

【2】から続く

 そして足まわり。セミトレーリングアームを採用するハコスカは、車高を落すとアライメントがズレて直進安定性が犠牲になりがち。そこで、高速走行中のフラツキを解消すべくロワアームの加工に着手。トー角が0になるように調整してタイヤの転がり抵抗を減らし、あたかも出力を向上したかのような効果を引き出している。

 また、ブレンボ4ポットキャリパーを導入したのに伴い、大容量のマスターシリンダー&ブースターを流用し、違和感ないタッチを実現した。

「真夏でもストレスなく走れるよう他車種用のエアコンを移植したほか、フロアには耐熱性のあるチッピング塗料を吹きつけました。また、内張りの下には遮熱&遮音効果のあるゴムマットを二重に敷くなど、快適性を高めるためにいろいろな工夫をしていますよ」。

 こうしてRB20E型改キャブレター仕様を搭載し、ストレスフリーで乗れるハコスカへと進化。老舗ショップが提案する新しい旧車スタイルに、共感を覚える人は少なくないはずだ。


▶▶▶【画像26枚】リクライニング機構も備えたオリジナルのGT-R純正風シートや、以前から所有していた1台目となる白いハコスカなど


OWNER’S VOICE/ハコスカでのドライブが最高の息抜きです

「実は、以前からハコスカを所有していて(写真)、2台目になります。家内も旧車好きなので、一緒にランデブー走行できたら楽しいだろうなと思い、購入を決めました。完成するまでに3回ほど宮田自動車さんにお邪魔しましたが、いざ完成した姿をみると感激もひとしおですね。吉田店長が精根を込めて仕上げてくれた特別な1台を、ずっと大切に維持していきたいと思います」




ワンランク上の制動力を確保すべく、ブレーキはRSスタートのハコスカ・ブレンボキャリパーキットを投入。前後とも4ポットキャリパーで、ローターは2ピースのスリット入りだ。




アームやロッドはピロボールタイプの調整式に変更し、アライメントを最適化。高速でも安心して踏める仕様だ。





トラクション確保の要となるリアサスペンションは、コイルオーバーのオリジナル車高調をセット。さらに高速での安定性を高めるべくリアキャンバーゼロ加工を実施。ロワアームはユニクロームメッキを施した。


1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:フルレストア&ボディ強化
 (スポット増し、防錆・防振・剛性・静粛性)、
バイブラントレッド、前後ちょいでかオーバーフェンダー、
全面白ガラス、GT-R仕様、ドライカーボンフェンダーミラー
■ エンジン:RB20E型、LY風ヘッドカバー、
OERφ45mmキャブレター、ワンオフ等長タコ足(6-2-1)、
RSスタート製マフラー(φ80mmシングル)
■ 点火系:純正デスビ改、亀有製フルトラキット、
WAKOテクニカル製スーパーZコイル
■ 燃料系:100Lタンク(ステンレス)、ミツバ電磁ポンプ
■ 冷却系:電動ファン
■ 駆動系:71Cミッション、
ワンオフミッションメンバー、クスコ製LSD
■ サスペンション:ワンオフ車高調(リアコイルオーバー)、
フルピロアーム(メッキ)
■ ブレーキ:ブレンボ4ポットキャリパー&ローター(φ280mm)、
ウイルウッド製ブレーキバランサー
■ インテリア:特注GT-R風リクライニング加工シート、
ダッツンコンペステアリング(加工)、
インダッシュエアコン、電動パワステ
■ タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ
 (F)RE-71R 205/50R15(R)RE-01 225/50R15
■ ホイール:レイズ・ボルクレーシングTE37V(ブロンズ)
 (F)15×9J-15(R)15×10J-25

初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT(全3記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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