名機LYヘッドをイメージした、クロスフローのRB20E型改キャブレター仕様というスタイル|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT Vol.1

タペットカバーはLYヘッドをイメージした「NISSAN」ロゴを入れるなど、その雰囲気を絶妙に演出。

       
【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT Vol.1】

常識を打ち破るには、並々ならぬ苦労がともなう。これはクルマ作りの世界においても同様。
ハコスカのR仕様にL28型改、ソレ・タコ・デュアルといった王道チューニングを否定するわけではない。
しかし、時には革新も必要だ。創業30年の名門、ヴィンテージ宮田自動車が提案するのは、そんな21世紀流のハコスカメイク。
快適性と安心感、そして走りの楽しさを備えた、新鮮味のあるカスタムを施した1台を紹介しよう。

 長年、チューニングのノウハウが蓄積されてきたL型エンジン。いまだにパーツが豊富に流通しており、NAメカチューンで350psオーバーも可能になっている。その反面、あらゆる仕様が出尽くし、エンジンの限界を追求するチューニング本来のおもしろさが、多少なりとも薄まってきたのも事実。

 また、近ごろはベースエンジンすら手に入れることも難しくなってきた。これから10年、20年先のL型チューンを考えると、このようにさまざまな問題が浮き彫りになってくる。


▶▶【画像28枚】タペットカバーはLYヘッドをイメージした「NISSAN」ロゴを入れるなど、その雰囲気を絶妙に演出。余分な配管や配線を隠すことでスッキリと見せるクロスフローヘッドのRB20E型が搭載されたエンジンルームなど


 ここで紹介するヴィンテージ宮田自動車によるKGC10は、そうした将来の可能性まで見据えて製作された、エンジンスワップ仕様だ。その心臓部には、L型の進化版ともいえるRB20E型エンジンが収められる。

 「R33スカイラインの2LNA車に搭載されるRB20E型に積み替えました。SOHCヘッドのこのユニットを選択したのは、あのLYヘッドと同じSOHCのクロスフローだから。オーナーさんの使用目的をヒアリングし、製作コストも加味して選びました」と語るのは、同社の吉田店長。




HR30用メンバーを加工流用して搭載したRB20E型エンジン。インマニをワンオフして装着したOERφ45mmキャブレターは、アウターベンチュリーφ34〜φ37mmをA/F計利用にてセッティング。OERの性能を最大限に引き出すファンネルは70mmをセット。


RB20DE型用のタコ足移植を試みるも、フランジ穴のピッチなどが合わず断念。RSスタート製のマフラーに合わせて、6-1集合のワンオフエキマニを製作した。



1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:フルレストア&ボディ強化
 (スポット増し、防錆・防振・剛性・静粛性)、
バイブラントレッド、前後ちょいでかオーバーフェンダー、
全面白ガラス、GT-R仕様、ドライカーボンフェンダーミラー
■ エンジン:RB20E型、LY風ヘッドカバー、
OERφ45mmキャブレター、ワンオフ等長タコ足(6-2-1)、
RSスタート製マフラー(φ80mmシングル)
■ 点火系:純正デスビ改、亀有製フルトラキット、
WAKOテクニカル製スーパーZコイル
■ 燃料系:100Lタンク(ステンレス)、ミツバ電磁ポンプ
■ 冷却系:電動ファン
■ 駆動系:71Cミッション、
ワンオフミッションメンバー、クスコ製LSD
■ サスペンション:ワンオフ車高調(リアコイルオーバー)、
フルピロアーム(メッキ)
■ ブレーキ:ブレンボ4ポットキャリパー&ローター(φ280mm)、
ウイルウッド製ブレーキバランサー
■ インテリア:特注GT-R風リクライニング加工シート、
ダッツンコンペステアリング(加工)、
インダッシュエアコン、電動パワステ
■ タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ
 (F)RE-71R 205/50R15(R)RE-01 225/50R15
■ ホイール:レイズ・ボルクレーシングTE37V(ブロンズ)
 (F)15×9J-15(R)15×10J-25

【2】【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT(全3記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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