「スパ・ドリーム」結実|R100スパ・クラシックレース参戦リポート Vol.3

チェッカーを受けてピットに戻ると加藤さん(中央)は、真っ先に前田さん(左)と固い握手を交わした。傍らでその様子を見届けた小早川さん(右)の笑顔も印象的だ。

       
スパ・フランコルシャンサーキットで開催される24時間レースは、世界三大耐久レースに数えられる歴史あるレースだ。1970年、そんなスパ24時間レースに、ロータリーエンジンを搭載した小さな日本車が参戦。それから45年を経た2015年、一人の日本人オーナーが、再びスパの地にR100(ファミリア)ロータリークーペを持ち込んだ。

【R100スパ・クラシックレース参戦リポート Vol.3】

【2】から続く

 9月20日(日)に決勝レースを迎えるマスターズ70sセレブレーションレースは、スパ6時間耐久というヒストリックカーレースを中心にした、レースイベントのうちの1つ。

 当時のワークスマシンを忠実に再現した2台のマシンを持ち込んだ加藤さん。33号車仕様(当日のゼッケンは133)を自らがドライブし、もう1台の31号車仕様を旧知の仲であるマツダ執行役員デザイン本部長の前田育夫さんに託した。


【画像63枚】ドライバーの加藤さんをはじめとしたチーム写真など

 スパ特有の不安定な天候からウエットでのレースも予想されたが、この週末は奇跡的に好天に恵まれ、早朝の雨がうっすら路面に残る程度でまずまずのコンディション。ひょっとすると加藤さんの「スパ・ドリーム」に対する天からの贈り物だったのかもしれない。

 スターティンググリッドについた加藤さんは、少しの緊張とこれから始めるドラマへの期待感に胸を膨らませる思いが表情に表れ、とても輝いてみえた。そして40分間のレースを無事に走り切り、ピットに戻った時には、安どの気持ちと達成感が入り混じり、最高の笑顔を見せてくれた。

 加藤さんが40年以上にわたって描いてきた「スパ・ドリーム」は、この日結実した。それはすべてのマツダファンにとっても夢のような時間だった。



本戦スタート直前、スターティンググリッドに並んだ加藤さん。いよいよ始まるドラマにわくわくしている様子がうかがえた。





レース中コンスタントに周回を重ねた加藤さん。コース上でマシンをドライブした40分は、まさに夢の中だったことだろう。





チェッカーを受けてピットに戻ると加藤さん(中央)は、真っ先に前田さん(左)と固い握手を交わした。傍らでその様子を見届けた小早川さん(右)の笑顔も印象的だ。


【4】【5】【6】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

R100スパ・クラシックレース参戦リポート(全6記事)

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text : NOSTALGIC HERO/編集部 photo : MASATO MIURA(MZ RACING)/三浦正人(エムゼットレーシング) MAZDA/マツダ、NOSTALGIC HERO/編集部

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