幼い頃に父親とドライブをした楽しい思い出を胸に、今はわが子とともに走る｜1972年式 いすゞ ベレット 1800 GT　Vol.3

1963年6月に発表され、同年10月26日から11月10日に開催された第10回全日本自動車ショーに展示。未来的なデザインの試作車やプロトタイプが並ぶショー会場において、現実的なフォルムを披露したベレット。多くの来場者たちに発売を強く期待させ、ショーが終わって間もない11月20日に主要都市で発売となった。ここで紹介するベレットは、1970年11月に追加された1800GTだ。


【1972年式 いすゞ ベレット 1800 GT　Vol.3】【2】から続く

　購入時は前オーナーの趣味で英国のクラブマンレーサー仕様となっていたが、昔から気に入っていたホイールを装着するなど、カスタマイズして自分好みに仕上げている。外されていたフロントバンパーを付け、 いすゞスポーツプロデュースのKONI製ショックアブソーバーを新調。さらに、 いすゞスポーツ製中空スタビライザーを装着して足回りを軽快にチューニングし、自宅近くの峠道を楽しくコーナリングできる仕様にしている。

【画像20枚】1800GTとGTRに採用されていた砲弾型のウッドシフトノブなど

「自分が子どもの頃、父親にフロンテやワーゲンでいろんな所に連れて行ってもらいました。ワーゲンはしょっちゅう故障していましたが、僕はそれがイヤではなかった。むしろ、父親とのドライブが好きだった。今、息子とベレットを通してコミニュケーションをとれるのがすごくうれしいです。来年は中学生になるので、いつまでドライブできるか分かりませんが、できる限り一緒に出かけたいですね」。

　幼い頃に父親とドライブをした楽しい思い出を胸に、今はわが子とともに走るオーナー。かけがえのない家族との思い出は、ベレット1800GTとともに、愛息である大介君の心にもしっかりと刻まれるに違いない。

OWNER’S VOICE／ドライブの時間が2人の大切な思い出へと変わる

　最初は旧車に興味がなかったが、奥多摩ミーティングに一緒に参加してから一転、興味を持ってくれたというオーナーの息子さん。「ベレットGTの丸いフォルムが好きです。乗っている時にファンネルから聞こえる吸気音がカッコいい!」と魅力を話してくれた。今はこのクルマで一緒にラーメン屋を巡るのが2人の楽しみで、オーナーも息子さんも豚骨醤油や横浜家系ラーメンが好物とのことだ。　


ベレット1800GTの室内で楽しそうに会話していたオーナーと息子さん。2人ともベレットにベタぼれ!?　将来はオートバイや旧車が大好きな青年になりそう。




:購入の決め手となったミクニソレックスφ40mmツインキャブ。真ちゅう製ファンネルは当時物を磨き上げて装着した。





G180型エンジンの排気量は、φ84×82mmのボア&ストロークによって1817ccである。シングルカムながら、低回転から高回転までスムーズによどみなく回り、トルクフルで扱いやすい。





電装系は永井電子工業製フルトラ、燃料系はミツバ製電磁ポンプ、ラジエーター冷却ファンはカップリングとなっている。



1972年式 いすゞ ベレット 1800 GT(PR95)
SPECIFICATION 諸元
全長 4015mm
全幅 1495mm
全高 1325mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1260/1240mm
最低地上高 195mm
室内長 1480mm
室内幅 1240mm
室内高 1060mm
車両重量 950kg
乗車定員 4名
最高速度 180km/h
登坂能力 sinθ0.55
最小回転半径 5m
エンジン型式 G180型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1817cc
ボア×ストローク 84.0×82.0mm
圧縮比 9.7:1
最高出力 115ps/5800rpm
最大トルク 15.5kg-m/4200rpm
変速比 1速 3.207/2速 1.989/3速 1.356/4速 1.000/後退 3.592
最終減速比3 .727
燃料タンク容量 46L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン独立懸架コイルスプリング/ダイアゴナルリンク独立懸架コイルスプリング横置きリーフスプリング併用
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
タイヤ前後とも 6.45-13-4PR
発売当時価格 87万円


初出：ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1972年式 いすゞ ベレット 1800 GT（全3記事）

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