無理にキャンセル待ちをお願い! 恋い焦がれたカローラGTに今も夢中|1980年式 トヨタ カローラ セダン 1600 GT Vol.3

サンモリッツホワイトのボディは、「折り紙細工」と呼ばれたこともあったとか。ホットモデルとなるGTは、スタンダードなどに比べ、フロント20mm、リア10mmワイドトレッド化されている。

       
【1980年式 トヨタ カローラ セダン 1600 GT Vol.3】

【2】から続く

 その思いは社会人になっても続き、カローラGTを探して京都や群馬にも足を運んでいたそうだ。そしてようやくこのカローラGTを見つけた。
「むさしの自動車商会さんに見に行った時には、すでに先客がいて、売約済みといわれました。それでも諦めきれず、無理にキャンセル待ちをお願いしたんです。そしたら、先客の方がお店に連絡をしなかったようで、私の手元に来ることになったんです」とオーナー。30年近く思い焦がれた、初恋の人にやっと出会えた気持ちだったそうだ。


全長が175mm長い、GTでは前後とも標準装備となっている衝撃吸収ウレタンバンパーなど【写真22枚】

 ようやく意中のカローラGTを手にすることができたオーナーだが、製造後35年が経っているため、ノントラブルというワケにはいかなかった。購入後すぐに燃料ポンプが故障し、レスキューを依頼。そのため、思い切ってレストアを行うことに。永遠ボディーでの作業は、約1年がかりで行われた。

「ウレタンバンパーの質感の再現、入手できなかったDOHC・EFIのサイドステッカーの作製に手こずりましたが、理想の状態になりました」とうれしそうに話すオーナー。恋い焦がれたカローラGTに、今も夢中だ。

OWNER’S VOICE/足かけ30年、思い焦がれたTE71カローラGT

 学生の頃からTE71カローラGTを探していたオーナー。これまでの車歴は、AE70スプリンターセダンSXにはじまり、AE92カローラセダンGT、JZX91クレスタツアラーS、ベンツE320、ロードスターSスペシャル、レガシィワゴンGT-B、スカイラインGT-Rオーテックver.などを乗り継いだそうだ。それでも、TE71カローラGTを諦めきれず2009年に購入。レストア後には、モリゾウこと豊田章男社長にも乗ってもらったそうだ。




2T-G型のヘッドカバーの文字は、当初は「TOYOTA 1600」、途中で「1600」が消え、2T-GEU型では「TOYOTA DOHC」となった。





エンジン前側には、トヨタのマークとDOHCヘッドの開発を担当した「YAMAHA」のロゴが浮かび上がる。





ソレックスキャブレターに代わり、コンピューターで最適な量の燃料を送り込むEFI(電子制御式燃料噴射装置)が採用されたことをアピールする文字が、誇らしげにサージタンクに浮かぶ。


1980年式 トヨタ カローラ セダン 1600 GT(TE71)
SPECIFICATION 諸元
全長 4225mm
全幅 1610mm
全高 1385mm
ホイールベース 2400mm
トレッド前/後 1340/1345mm
最低地上高 150mm
室内長 1710mm
室内幅 1330mm
室内高 1130mm
車両重量 955kg
乗車定員 5名
登坂能力 tanθ0.61
最小回転半径 4.7m
エンジン型式 2T-GEU型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 1588cc
ボア×ストローク 85.0×70.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 115ps/6000rpm
最大トルク 15.0kg-m/4800rpm
燃料供給装置 EFI
変速比 1速 3.587/2速 2.022/3速 1.384/4速 1.000/5速 0.861/後退 3.484
最終減速比 4.100(4.300)
燃料タンク容量 50L
ステアリング形式 ボールナット式(16.1)
サスペンション前/後 ストラット式コイルスプリング/ラテラルロッド付4リンクコイルスプリング
ブレーキ前後とも ディスク
ホイール 13×5.0J
タイヤ前後とも 175/70HR13
発売当時価格 128.5万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 トヨタ カローラ セダン 1600 GT(全3記事)

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photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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