40年前発売されていた当時と同じ乗り方をしたい|1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.3

ステアリングのセンターパッドにあるGT/W専用エンブレム。他のグレードやクーペでは唐草模様が描かれている。

       
【1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.3】

【2】から続く


 初期型はエキゾースト系が太く造られており、エンジン音が低く迫力がある。だが、低速トルクが細いのが難点で、フロンテクーペが登場した頃には対策として、エキゾーストが細いタイプへと変更され、トルクをアップをしているというのだ。

 そんな扱いにくさの半面、パワーバンドに乗ったときの、突き抜けたような回転の上がり方が楽しめるのは、初期型の特権といえる。

【画像24枚】フロントシートはヘッドレスト一体式のバケット型。シートベルトは2点式。ミッションは4速。後退はノブを下に押してシフトする。長距離ドライブでは肘掛けとして重宝しているという偶然見つけたゴミ箱のまるで純正のようなセンターコンソールなど

 1973年7月にフロンテはマイルド路線のLC20系にモデルチェンジ。73年末からの第1次オイルショックの影響から、メーカー各社はハイパフォーマンスモデルをラインナップから消していく。3代目フロンテ71GT/Wは、ドライバーに乗りこなす楽しみを残した2サイクルスポーツ最終世代を象徴するビートマシンだった。

OWNER’S VOICE

 以前はフロンテクーペに乗っていたオーナー。71GT/Wはずっと探していて、9年前に入手。40年以上前、このクルマが普通に売られていた頃は、家族4人が乗れて、レジャーや買い物など、自然に走っていたはず。旧車だからとしまい込むのではなく、昔と同じように乗って楽しみたいという。毎日の通勤に使っていた時期もあり、先日はイベント参加のため神奈川から岡山まで往復1400kmを走破した。






タコメーターは空冷用に交換してあり、本来水冷にはないイエローゾーンが見える。





黒を基調としたダッシュボード。パネルはウッド調。3連メーターは左からタコメーター、スピード、燃料計と水温計。ステアリングはナルディタイプの3スポーク。






フロントシートはヘッドレスト一体式のバケット型。シートベルトは2点式。ミッションは4速。後退はノブを下に押してシフトする。まるで純正のようなセンターコンソールは偶然見つけたゴミ箱。長距離ドライブでは肘掛けとして重宝しているという。


【1】【2】から続く

1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(LC10W)
SPECIFICATION 諸元
全長 2995mm
全幅 1295mm
全高 1260mm
ホイールベース 2010mm
トレッド前/後 1120/1100mm
最低地上高 160mm
車両重量 475kg
乗車定員 4名
登坂能力 sinθ0.47
最小回転半径 3.9m
エンジン型式 LC10W型
エンジン種類 水冷直列3気筒2サイクル
総排気量 356cc
ボア×ストローク 52×56mm
圧縮比 7.2:1
最高出力 37ps/6500rpm
最大トルク 4.2kg-m/4500rpm
変速比 1速 3.182/2速 1.875/3速 1.238/4速 0.880/後退 2.727
燃料タンク容量 27L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 コイルスプリングWウイッシュボーン/コイルスプリングトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.20-10-4PR
発売当時価格 43.3万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(全3記事)

関連記事: 忘れ得ぬGT

関連記事: フロンテ

photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

RECOMMENDED

RELATED

RANKING