バリエーションに富んだ車種構成の70年代初頭のフロンテ|1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.1

発進時は4000rpm以上でクラッチミートしないと走らないと、乗り手を選ぶ初期型。

       
【1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W Vol.1】

 1970年11月にデビューした3代目フロンテは、先代でコークボトルと呼ばれた、曲面を強調したボディラインを一新。スティングレイルックと呼ばれるシャープかつワイドな、直線基調のスタイリングへと大きくイメージチェンジしている。

 水冷のイメージが強い3代目フロンテだが、デビュー時は空冷モデルとして販売開始。このときの車台型式は、先代のLC10系に対しLC10Ⅱ。スポーツモデルはS、SSという、コークボトルフロンテのグレード名を踏襲している。最上級モデルはSSSだった。

【画像24枚】1973年のニューフロンテで廃止される。71、72年に装備されていた三角窓など

 その後、1971年5月に追加されたのが水冷モデルのLC10W。当然、Wは水冷(Water Cooled)の意味となる。ここからフロンテのGTモデル、フロンテ71GT/Wが誕生。GT/Wのほか、GS/W、GL/W、GO/Wが存在。GT/Wのみが最高出力37㎰を誇る。それ以外は圧縮比7.8:1の34㎰/6000rpm。水冷モデル登場後も、空冷モデルのLC10Ⅱは並売された。

 1971年9月には名車フロンテクーペが発売開始。車台型式は同じくLC10W。これによりフロンテ「クーペ」に対し、3代目フロンテはセダンと呼ばれるようになった。



先代のコークボトルフロンテから大幅にイメージチェンジし、精悍な顔つきとなった71フロンテ。マイナーチェンジしたフロンテ72はグリルがデザイン変更され、ニューフロンテではフロントマスクを大幅に変更。ヘッドライトは丸目に戻る。埋め込み式のフォグランプは上級グレードのみの装備。




テールは逆アール状になっていて揚力を抑えるデザイン。サイドの大型エアインテークでエンジンルーム内に空気を送り込む。マフラーが左側にあるため、左テールレンズが汚れやすい。




1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(LC10W)
SPECIFICATION 諸元
全長 2995mm
全幅 1295mm
全高 1260mm
ホイールベース 2010mm
トレッド前/後 1120/1100mm
最低地上高 160mm
車両重量 475kg
乗車定員 4名
登坂能力 sinθ0.47
最小回転半径 3.9m
エンジン型式 LC10W型
エンジン種類 水冷直列3気筒2サイクル
総排気量 356cc
ボア×ストローク 52×56mm
圧縮比 7.2:1
最高出力 37ps/6500rpm
最大トルク 4.2kg-m/4500rpm
変速比 1速 3.182/2速 1.875/3速 1.238/4速 0.880/後退 2.727
燃料タンク容量 27L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 コイルスプリングWウイッシュボーン/コイルスプリングトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.20-10-4PR
発売当時価格 43.3万円

【2】【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 12月号 vol.172(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 スズキ フロンテ 71 GT-W(全3記事)

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photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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