歴代セリカ中、最も排気量の大きなエンジンを搭載! USスタイルRA63の魅力|1982年式 トヨタ セリカ GT-LIMITED Vol.1

前期型はポップアップ式のヘッドライトを採用。当時このデザインは不人気だったが、いま見るとハチマル世代らしさがあっていい感じに見える。

       
【1982年式 トヨタ セリカ GT-LIMITED Vol.1】

日本初のツインカムターボを搭載したのがこのモデル。しかもFRで車重は1100kg台とかなりのスポーツ度。
それだけにコアなファンもいるが、今回紹介する1台は、初めて見るファンもいそうなレアなグレードだ。


 70年代はオイルショックの影響もあり、スポーティーカーには不遇の時代だった。それと同時にスポーティーカー好きのユーザーは、我慢を強いられていたのだ。

 そのうっぷんが弾けたのがハチマルの時代。日産がL20型ターボエンジン搭載車を出したことをきっかけに、パワー競争に火がついたのだった。

 日産に対抗すべく登場したのがA60セリカ。当初は2T‐G型や18R‐G型というひと世代前のエンジンを積んでいたが、これではパワー競争に不利。そこで翌82年に日本初となるツインカムターボエンジンの3T‐GT型を積んだGT‐TRグレードを追加。一気に巻き返しに出たのだった。

エンジンルームに搭載されたNA SOHC2.4Lの22R-E製エンジンなど【写真18枚】


 そんなセンセーショナルなストーリーを背負っているA60系セリカだが、ポップアップライトを取り入れたフロントマスクデザインがあまりに個性的過ぎて、さらには兄弟車のカリーナ&コロナ、兄貴分のXXとの競合もあって、ストーリーに見合った人気は出なかった。ゆえに残っている台数も少なく、旧車イベントでもあまり見かけないクルマでもある。 

 だが、海の向こう、アメリカでは大人気車であり、日本とは違う仕様なども売られていた。

 それが今回紹介するRA63セリカ。搭載しているエンジンは鳴り物入りの3T‐GT型ではなく、アメリカ市場にあわせて中速トルクを重視した、2.4L直列4気筒SOHCの22R‐E型というモデル。

 エンジンだけでも日本にはない仕様であり、アメリカの環境に合わせた機構に興味がわく。しかし、このクルマのポイントはそこだけでなかった。




スポーティさとタフさが混じる、USスタイルRA63セリカの魅力。




これもアメリカらしいパーツのリアルーバーだ。材質はスチール。上部にヒンジがあって、下のロックを外すと持ち上がり、ガラスの掃除ができる。


1982年式 トヨタ セリカ GT-LIMITED (輸出車)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4435mm
全幅 1665mm
全高 1310mm
ホイールベース 2500mm
トレッド前/後 1395/1385mm
乗車定員 5名
車両重量 1165kg
エンジン型式 22R-E
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
排気量 2366cc
ボア×ストローク 91.9mm×88.9mm
最高出力 114ps/4800rpm
最大トルク 19.0kg-m/3600rpm
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション形式 マクファーソンストラット
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 225/60R14
ホイール 7J×R14


【2】【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 10月号 vol.171(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1982年式 トヨタ セリカ GT-LIMITED(全3記事)

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photo & text : MASAYUKI FUKADA/深田昌之

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