「アートフォース・シルビア」90年代前半のデートカーを代表する存在|1992年式 日産 シルビア Q's SC Vol.1

「悦楽のマテリアル」「そこに、罪な走りが眠る」「ART FORCE SILVIA」。

       
【1992年式 日産 シルビア Q’s SC Vol.1】

 1960年代では、まだまだ少数だったスペシャリティーカー。初代シルビアは、そんな時代に世に送り出された。

 「クリスプルック」と呼ばれる美しいスタイリングや豪華なインテリアを特徴としたが、販売期間約3年、生産台数554台で姿を消してしまった。

後期になって上底の長い逆台形から楕円形となった、高級感を演出するトランクのキーシリンダーオーナメントなど【写真17枚】

 そして2代目でも初代のスペシャリティーカー路線を受け継ぐものの、商業的には苦戦。こちらも4年たたずにモデルチェンジ。しかし3代目のS110ではスポーツ性を打ち出すことで人気を獲得。DR30と同じFJ20E型エンジン搭載車を設定し、当時の人気カテゴリーだったシルエットフォーミュラレースにも参戦。星野一義がハンドルを握り、長谷見昌弘のスカイラインや柳田春人のブルーバードと熱戦を演じて人気をさらった。また、WRCでも活躍し、海外でも高い評価を受けたのだ。

 その後、シルビアという名をより多くの人に広め、人気を決定づけたのが5世代目となるS13だ。「アートフォース・シルビア」のキャッチコピーが付けられたS13は、「若い男女のカーライフをおしゃれに演出する、センスが良く走りが楽しい2ドアスタイリッシュクーペ」というテーマのもと開発された。

 「ストリームライン」と呼ばれる流麗なスタイリングや、乗る人を優しく包み込む曲面を多用したインテリアなどが若い女性に受け入れられ、デートカーとして人気を獲得。また、グッドデザイン大賞を受賞するなど、社会的にも高い評価を受けたのである。そして、ライバルのプレリュードとともに、90年代前半のデートカーを代表する存在になったのは周知の通りだ。



左右のヘッドライトの連続性を持たせるクリスタルグリルは、S13を象徴する部分のひとつ。後期では、中央の「SILVIA」のロゴが小さくなった。


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Q’s SCとクラブセレクションには、シルバーポリッシュタイプの15インチアルミホイールが標準装備。ちなみにQ’sの場合、14インチスチールホイール+キャップが標準となる。




リアタイヤ前方にあるエンブレムでグレードの判別が可能。ちなみに、標準は黒地にシルバーの文字だが、クラブセレクションではメッキベースの黒文字となる。



1992年式 日産 シルビア Q’s SC(PS13)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4470×1690×1290
ホイールベース(mm) 2475
トレッド前/後(mm) 1465/1460
車両重量(kg) 1150
エンジン型式 SR20DE型
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 9.5:1
最高出力(ps/rpm) 140/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 18.2/4800
変速比 1速2.785/2速1.545/3速1.000/
4速0.694/後退2.272
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 196.8万円

【2】【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 5月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 日産 シルビア Q’s SC(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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