大ヒットのシビックに続け! FF車で挑んだアダルト層向け「大地のクルーザー」|1981年式 ホンダ アコード LX ハッチバック Vol.1

アコード LX ハッチバック。アメリカ オハイオ州から輸入した北米仕様。

       
【1981年式 ホンダ アコード LX ハッチバック Vol.1】

 初代シビックのイメージを引き継ぎながら、ひとクラス上のクルマとしてデビューしたのがアコード。

 当時を知る人には妙に心に残る、そんなクルマでもある。

 ホンダは、今でこそ世界に通用する自動車メーカーだが、クルマ販売の不振が続き、4輪車生産から撤退する案が出た時代もあった。

 そんな不振の状況で投入されたのが初代シビック。これが世界中で大ヒットし、ホンダの4輪車生産撤退は回避されたのだった。

当時アメリカで右ミラーの装着は任意だったので現地オプションパーツでだった、非常にレアな右ミラー【写真23枚】

 そんなホンダを救ったヒーローと呼ぶべきシビックをデザインしたのが、当時の社内デザイナーであった岩倉信弥さん。シビックのヒットには、岩倉さんが描き上げた台形ボディの優れたデザインによるところも大きい。

 岩倉さんがシビックに続いてデザイン担当したのが、同じく台形ボディを継承した初代アコードである。

 当時のキャッチフレーズは「大地のクルーザー」であり、解説文には「車質をトータルで極めた」や「快走のダイナミズムを知るアダルト」という言葉が躍動、シビックより上質であることをアピール。

 また、機構的にも当時としては画期的だった車速応動型パワーステアリングを装備。この機構は1976年の日本自動車技術会賞(技術賞)も受賞している。

 搭載するエンジンは副燃焼室式のヘッドを採用したCVCCⅡで、1.6Lと1.8Lをランンナップ。ここでもシビックとの差別化をおこなっていた。

 アコードもホンダを救ったシビック同様に、世界中に輸出され大ヒット。特に北米では大人気となった。

 オーナーが購入したアコードは、大人気を博したアメリカ・カリフォルニアから日本に帰郷。現地では純正のまま大切に乗られていた車両で、美しいボディと快調なエンジンを持つ良質な個体だった。



日本仕様のグリルは格子状だが北米仕様は横フィンタイプで、センターがメッキ仕上げ。デザインの違いからか、北米仕様は顔つきが柔らかくなり、女性的なイメージにも見える。日本仕様のグリルは格子状だが北米仕様は横フィンタイプで、センターがメッキ仕上げ。デザインの違いからか、北米仕様は顔つきが柔らかくなり、女性的なイメージにも見える。





ホイールも当時モノのスチール。サビもなく極上状態を維持。





純正ドアミラーも装着するが、アメリカでは右ミラーの装着は任意だったので右側は現地のオプションパーツ。それだけに非常なレアなパーツである。




1981年式 ホンダ アコード LX ハッチバック(北米仕様)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4145mm
全幅 1620mm
全高 1340mm
ホイールベース 2380mm
トレッド前/後 1400mm/1390mm
最低地上高 165mm
室内長 1745mm
室内幅 1315mm
室内高 1120mm
乗車定員 5名
車両重量 860kg
エンジン形式EF CVCC水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1750cc
ボア×ストローク 77.0mm×94.0mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 75hp/4500rpm
最大トルク 93.3lb.ft/3500rpm
燃料タンク容量 50L
サスペンション形式 マクファーソンストラット
ブレーキ前/後 ディスク/PCV付きリーディングトレーリング
タイヤサイズ 165SR13


【2】【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 5月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1981年式 ホンダ アコード LX ハッチバック(全3記事)

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