55万台中420〜430台! 世界中を航海する船乗りが40年前に心を奪われたZを手に入れる!|1970年式 日産 フェアレディZ Vol.2

S20型エンジンを搭載したS30Zの最高峰Z432。

       
1969年10月18日、東京モーターショー開催に先駆けて発表された、初代フェアレディZ。なかでも初代の生産台数55万台のうち、420〜430台と非常に希少なのが、スカイライン2000GT‐R(PGC10)と同じS20型エンジンを収めるZ432(PS30)だ。

【1970年式 日産 フェアレディ Z432 Vol.2】

【1】から続く

 まさに時代を先取りしたZ432。世界に通用する国産スポーツカーの登場は、高度経済成長期を生きる若者にとって大いに刺激的であったに違いない。何を隠そう、このクルマを所有するオーナーもそんなひとりだ。

「初めてZ432に出合ったのは、若い頃によくお世話になっていた伯母宅の近くです。近所に住む開業医のお嬢さんが、颯爽と乗りこなしていました」と当時を振り返る。

 瞬時に心を奪われたが、免許を取得したばかりのオーナーにとってZ432はとても高価で、おいそれと手が出せるクルマではない。スタイリッシュなスポーツカーと美しい女性……。まるで映画のスクリーンから抜け出したような光景だけが脳裏に焼き付いた。

 それから約40年。世界中を航海する船乗りとして人生の大半を洋上で過ごしてきたオーナーが、その激務をまっとうし、陸に上がって第二の人生を共に歩むにあたり手に入れたのが、若かりし頃に憧れたZ432だった。


前期型のS20型エンジンには、「K3」のヘッドが組み合わされており、後期型は「K4」。エンジン前方に入る「NISSAN JAPAN K3」の文字など【写真25枚】




最高出力160ps、最大トルク18kg-mから、0-400m=15秒8という当時としては驚異的な速さを誇った。入手してからフルOHを実施したことで、現在は「加速も魅力」とオーナー。
 




エンジンの後端、ミッションとの接合部分にエンジン番号が刻印されている。





タコ足側のフレームには、前期型のみ遮熱板が装着されている。これはブレーキ配管に熱害がおよぶのを避けるためのもの。


1970年式 日産 フェアレディZ432(PS30)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 1040kg
乗車定員 2名
最高速度 210km/h
登坂能力 sinθ0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
燃料供給装置 ソレックス40PHH×3
変速比 1速 2.957/2速 1.858/3速 1.311/4速 1.000/5速 0.852/後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット式
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
ホイール 5.5Jマグネシウム製
タイヤ 前後とも 6.95H-14-4PR
発売当時価格 185万円


【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 10月号 vol.171(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1971年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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