究極のMZ12ソアラを目指して製作! キャブ仕様の6M-G型改3.2Lフルチューン |1985年式 ソアラ3.0GTリミテッド Vol.1

新車さながらの輝きをみせながら、フルチューンの圧倒的な実力を誇る!

       
【1985年式 ソアラ3.0GTリミテッド Vol.1】

 若かりし日の想い出は、時にダイヤモンドのような輝きを放つ。愛知県のアンリミテッドが手がけたMZ12ソアラのオーナーもそんなひとり。当時は高嶺の花だった最高級グレードの「3.0GTリミテッド」を手に入れ、丹念に磨き上げた。そして新車顔負けの状態にまでよみがえったこのマシンのエンジンルームには、排気量を3.2Lまで引き上げたキャブ仕様の6M型ユニットが収まる。オーナーの思い入れがたっぷり詰まった圧巻のMZ12ソアラを紹介しよう。

 自動車のハイテク化が進んだ1980年代、国産スペシャリティカーの代名詞として一世を風靡したソアラ。世界初の電子制御サスペンションとなるTEMSをはじめ、エレクトロニック・ディスプレイメーターやクルーズコンピューターなど、画期的な装備を誇り、流行に敏感な若者のハートをガッチリつかんだ。

 今回紹介するオーナーも、そんな10系ソアラにあこがれたひとり。高校生の頃からコツコツと貯金して、2.8GTリミテッドを手に入れた。はじめての愛車にもちろん満足していたが、その中古車店に展示されていた3.0GTリミテッドがどうしても忘れられなかったという。最新の装備を満載した最高峰グレードとの差額は約100万円。免許取り立ての若者だったオーナーは、どう逆立ちしてもその差額が払えなかった。

 そして約20年の歳月が流れ、クルマ関係の仕事をしていたことや、会社を立ち上げて忙しかったこと、そして子供たちの学費や生活費……。多忙な毎日に追われ、いつのまにかソアラへの情熱も薄れていった。愛車も手放し、ずっとクルマイジリとは無縁の生活を送っていたそうだ。

当時のディスクに、ディープタイプのリムを組み合わせたリバレル仕様。塗装を剥がして塗り直したというだけあり、新品さながらの輝きをみせるBBSホイールなど【写真38枚】






フロントのブレーキはフェラーリ360モデナ用の4ポットキャリパーに、φ320mmローターの組み合わせ。





ブラケットを介してブレンボ製2ポットキャリパーをセット。10系ソアラはパーツが少ないため、ワンオフや加工流用は当たり前。いろいろ調べたり、ネットオークションを物色したりという毎日とか。



1985年式 ソアラ3.0GTリミテッド (MZ12)
SPECIFICATIONS 諸元
●エンジン:6M型改3.2L仕様、圧縮比12.5、φ85.5mmハイコンプピストン(ショートピンハイト)、クロモリI断面コンロッド、フルカウンタークランクシャフト(軽量ダイナミックバランス加工)、ハイリフトカムシャフト(288度)、軽量バルブ(IN:φ46.5mm、EX:φ38mm)、強化バルブスプリング、チタンバルブリテーナー、強化バルブコッター、ラッシュキラー、強化メタル、メタルヘッドガスケット、ポート研磨、
●吸排気系:ソレックス50PHH、φ48mm等長6-1ステンタコ足、メインφ76mmワンオフステンマフラー
●点火系:ダイレクトイグニッション化
●冷却系:アルミ3層ラジエーター、ツイン電動ファン、オイルクーラー
●駆動系:純正5速ミッション換装(クロスレシオ)、クロモリ軽量フライホイール
●操舵系:電動油圧パワステ
■足回り:(F)40段調整式車高調(12kg-mm)、ピロロワアーム、ピロテンションロッド(R)8段調整式車高調(10kg-mm)、前後強化スタビライザー
■ブレーキ:(F)フェラーリ360モデナ用ブレンボ製4ポットキャリパー、φ320mm2ピースドリルドローター(R)ブレンボ製2ポット、φ320mm2ピースドリルドローター
■タイヤ:ダンロップ ディレッツァ(F)205/45R17 (R)235/40R17
■ホイール:BBS RS(リバレル加工)(F)17×8J(R)17×9.5J
■内装:レカロ製Cクラシック(純正色本革張り替え)、ワンオフアナログメーターパネル


【2】【3】【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1985年式 ソアラ3.0GTリミテッド(全4記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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