ノーマルボディにL20型フルチューン! まさに「羊の皮を被った狼」 |1970年式 スカイラインHT 2000 GT Vol.2

「R」でないことを誇りに思う、素のKGC10の美しさを堪能。

       
【1970年式 スカイラインHT 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

 2000GTの正しい姿は、サーフィンラインを生かしたこのカタチだと思うのです。だから、わざわざニセモノのGT‐Rを作ろうとは思いません。このカタチで速かったら、それこそ本物の『羊の皮をかぶった狼』になると思いませんか?」

 こう考えたオーナー。偶然にも自宅の近くにある「スターロード」の門を叩き、いい加減くたびれてきたハコスカのリフレッシュを依頼。同時に、L20型シングルキャブエンジンのパワーアップに乗り出すことになった。
 エンジンにおける最大の見せ場は、L型のスポーツインジェクション化だ。パワーを出すことを第一に考えるのであれば、L28型に換装し、ソレックス3連のメニューが妥当なところ。

「エンジンをかけるときにアクセルを5mm踏んでイグニッションを回すといった、独特の儀式がイヤ(笑)。自分の年齢も考えて、もっと気楽に乗りたかった」という理由で、ライジングのインジェクションキットを導入。ヘッドとブロックはL20型のままで、秘密のφ82.5mmピストン、コンロッド&クランクシャフトを組み合わせている。

「組んだばかりなので220㎰くらい。アタリが出てくれば230~240㎰に届くハズ」と、スターロード代表の井上正嗣さんも太鼓判を押す。

GTらしさのアピールにつながる、GT-Rには付かないテールレンズ間を埋めるガーニッシュ。あえてL20型をベースとしたエンジンに、表面のザラつきを落としたL型用マニホールド、アルミ削り出しのスロットルボディなど【写真29枚】




R32スカイラインタイプMのフロントブレーキを流用できるスターロードのボルトオンキットを使い、一気に制動力アップを図る。





16段調整のフルタップ式車高調、ピロテンションロッドなど、フロントの足回りでもスターロードのオリジナルパーツ投入し、足回りの剛性感を大幅にアップ。セミレストアを施したことで、タイヤハウス内、下回りもピカピカ。





リアの足回りは、フロントと同じくスターロードのフルタップショートショックやフリーアジャストメントアームを駆使し、車高やキャンバーなどの調整も思いのままに。各ブッシュ類の交換、塗装も行っている。



1970年式 スカイラインHT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:セミレストア(スターロード)、GT-R用フロントウインドーモール/ワイパーアーム、レンズ類新品
●エンジン:L20型改2.6Lスポーツインジェクション仕様、L20型ヘッド&ブロック、ボアφ82.5mm×ストローク79mm(圧縮比11.5)、カム(75度/8.8mmリフト)、強化バルブスプリング、クロモリリテーナー(1mmアップ)、強化バルブコッター、クロモリロッカーガイド、φ82.5mm鋳造ピストン(重量バランス0.5g以内)、スタンダードタイプI断面コンロッド(側面へアライン仕上げ、重量バランス0.5g以内)、レギュレーター、スターロード製ハイパワーセルモーター/ブラックオルタネーター90A
●燃料系:ライジング製インジェクションキット、インジェクション用燃料ポンプ
●吸排気系:L型用マニホールド(表面スムーズ加工)、アルミ削り出しスロットルボディ、スターロード製φ45mm等長タコ足、6-2-1-2-1マフラー(φ70mm→φ60mm→φ70mm)
●冷却系:スターロード製アルミ3層ラジエーター
●操舵系:スターロード製電動パワーステアリング
●駆動系:ニスモ製強化クラッチ、71Cミッション、スターロード製ミッションメンバー、R200デフ
●サスペンション:(F)スターロード製フルタップ車高調/ピロテンションロッド(R)フリーアジャストメントアーム/フルタップショートショック
●ブレーキ:スターロード製マスターバック&マスターシリンダーキット、(F)スターロード製タイプMボルトオンキット
●インテリア:GT-R用ドアパネル、ブリッド製ディーゴⅡバケットシート、シートベルト張り替え、モモステアリング、スターロード製エアコンキット、ソニーヘッドユニット&スピーカー、スカイラインロゴ入りフロアマット
●タイヤ:(F)トーヨーDRB 175/55R15(R)トーヨープロクセスT1R 185/55R15
●ホイール:スターロードグロースターMS-S (F)15×7J+35(R)15×7.5J+16

【3】に続く


初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1970年式 スカイラインHT 2000 GT(全3記事)

関連記事: 次世代の旧車スタイル

関連記事: スカイライン

text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING