【1970年式 スカイラインHT 2000 GT Vol.1】
エンジンこそS20型やL型、RB型など、さまざまなバリエーションを受け入れるものの、外観に関していえばGT-R仕様こそ正統派とされるハコスカに一石を投じた1台のハードトップ。
オーバーフェンダーもなければ、赤バッジもない。グリルも違えば、モールも違う。だが、そこに表れたのは違和感ではなく、完全なるサーフィンラインを持つC10ハードトップの無垢なる姿。L型インジェクションの心臓をもつ、1台の「GT」を紹介する。
一番速いグレード、一番豪華なグレード以外は、存在する価値がないのか?
そんな素朴な疑問がわいてくる一台に出合った。
ベース車は「ハコスカ」ことC10系のスカイラインハードトップ。車名だけを聞けば、だれもがその存在意義を認める名車だが、Rの冠もXの称号も付かないベースグレードの2000GTとなれば、興味をそそられない人もいるに違いない。ところが、オーナーは、逆に安易なGT‐R仕様の増加に警鐘を鳴らす。
「免許を取って最初に買ったのはジャパンでしたが、ホントはハコスカが欲しかったんです。今乗っているハコスカは、25年前に近所の駐車場に停めてあったモノを譲ってもらったんですが、それからずっと乗り続けてますよ。多くの2000GTは、オーバーフェンダーを付けたGT‐R仕様に生まれ変わっていますが、2000GTの正しい姿は、サーフィンラインを生かしたこのカタチだと思うのです。だから、わざわざニセモノのGT‐Rを作ろうとは思いません。このカタチで速かったら、それこそ本物の『羊の皮をかぶった狼』になると思いませんか?」。
見慣れたGT-Rの赤エンブレムとはまた違った風情を醸し出す、GT用の青エンブレムや、途切れることのない美しいサーフィンラインなど【写真29枚】
GTと言えば、ボンネット先端にモールが付くのも特徴。また、気になるのがフロントグリルで、GT-RのものともGTXのものとも違うデザインは、逆にかなりの新鮮さを生み出している。
シンプルな外観のイメージを邪魔しないホイールには、グロースターMS-Sのシルバーカラーを選択。フロントのサイズは15×7J+35。
スカイライン本来の、途切れることのないサーフィンラインの美しさに絶句! リアには少し太めの15×7.5J+16を入れて、力感の演出も忘れない。車高の低さにもコダワリがある。
1970年式 スカイラインHT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:セミレストア(スターロード)、GT-R用フロントウインドーモール/ワイパーアーム、レンズ類新品
●エンジン:L20型改2.6Lスポーツインジェクション仕様、L20型ヘッド&ブロック、ボアφ82.5mm×ストローク79mm(圧縮比11.5)、カム(75度/8.8mmリフト)、強化バルブスプリング、クロモリリテーナー(1mmアップ)、強化バルブコッター、クロモリロッカーガイド、φ82.5mm鋳造ピストン(重量バランス0.5g以内)、スタンダードタイプI断面コンロッド(側面へアライン仕上げ、重量バランス0.5g以内)、レギュレーター、スターロード製ハイパワーセルモーター/ブラックオルタネーター90A
●燃料系:ライジング製インジェクションキット、インジェクション用燃料ポンプ
●吸排気系:L型用マニホールド(表面スムーズ加工)、アルミ削り出しスロットルボディ、スターロード製φ45mm等長タコ足、6-2-1-2-1マフラー(φ70mm→φ60mm→φ70mm)
●冷却系:スターロード製アルミ3層ラジエーター
●操舵系:スターロード製電動パワーステアリング
●駆動系:ニスモ製強化クラッチ、71Cミッション、スターロード製ミッションメンバー、R200デフ
●サスペンション:(F)スターロード製フルタップ車高調/ピロテンションロッド(R)フリーアジャストメントアーム/フルタップショートショック
●ブレーキ:スターロード製マスターバック&マスターシリンダーキット、(F)スターロード製タイプMボルトオンキット
●インテリア:GT-R用ドアパネル、ブリッド製ディーゴⅡバケットシート、シートベルト張り替え、モモステアリング、スターロード製エアコンキット、ソニーヘッドユニット&スピーカー、スカイラインロゴ入りフロアマット
●タイヤ:(F)トーヨーDRB 175/55R15(R)トーヨープロクセスT1R 185/55R15
●ホイール:スターロードグロースターMS-S (F)15×7J+35(R)15×7.5J+16
【2】【3】に続く
初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1970年式 スカイラインHT 2000 GT(全3記事)
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