40台以上のRE車にかかわる筋金入りのロータリー党|アメリカ西海岸のロータリー命の熱狂的オーナー パート1

ギャリー・タウザーさん(左)と、息子のフォレストさん。ガレージ前のカーポートを車庫にしている。道路まで15mほどあるコンクリート舗装の私道を掃除機で掃除するほど、土ボコリ対策には念を入れている。

70年代後半、タウザーさんが小学校高学年だった頃のこと。近所の男の子たちの憧れの的といえば、それは自分のお兄さんたちが峠に走りに行くクルマだった。誰もが小柄で安価ながらもパワーを誇ったマツダのRE車に乗っていた。

 まだ運転はできず、ただ取り囲むように見ていたタウザーさんは、峠で壊れたクルマを直すのを一生懸命手伝った。そうすればご褒美に峠に一緒に連れて行ってもらえた。それがうれしかったのだ。こうした日々を過ごし、子供心に「マツダロータリー」が刷り込まれていった。

 14歳になると運転免許を取り、壊れたRX-3を500ドルで手に入れた。初めての自分のクルマだった。1年かけて乗れるようにし、それで毎日のように仲間たちと峠に走りに行った。

 興味と競争心から危険を顧みないのは若い日の常。ぶつけて壊しては次のクルマを探して直し、直しては走り、走っては壊す。その繰り返しだった。

 16歳になる頃までに「ずいぶんぶつけたよ。それで限界がわかるようになってきたんだ」という。


 思いがけない出合いとなったRX-2は、1年越しでみごとに完調に仕上げたのがガレージに収まっているシルバーのモデル。毎日の足に使うというのが目的だったので、「マツダロータリー」のオリジナル性を保ちつつも機械系の信頼性をより高めるため、タウザーさんは後年のマツダの車種からパーツ流用するという方法をとった。

 手元にあった76年式インテークとキャブレターに合う80年式12A型を搭載エンジンに選び、トランスミッションと足回りにはミアータ(MX-5)から流用したパーツを使った。

 外装に用いたいくつかの黒のアクセントの中でも、フロントウインドーの枠やメッシュホイールの内側などは、1つ1つていねいに手塗りで仕上げた。
ガレージ マツダRX-3

家の裏庭にあるガレージが作業場だ。次に取りかかる予定のRX-3は、タウザーさんが以前オートク
ロスに使っていた車両。黄色い塗装が仕上がっていたボディシェルには、まだ何も取り付けられて
いなかった。



 図らずも当初の計画よりもはるかに高いレベルで仕上がってしまったRX-2。その代わりに日々の足となったのが、オレンジ色のオリジナル塗装が少しくすんだロータリーピックアップである。これは10年ほど前に手に入れてそのまま放ってあったクルマで、RX-2の完成に合わせて必要な部分だけを整備しただけだ。そのため入手した当時の状態を良く残している。

ガレージ ストックパーツ
家の地下室に大型パーツを保管している。ボディパネル、ドア、ウインドー、ドライブトレインなど、
R100からRX-7まで長年にわたって集めたもの。マツダ専用サイズのホイールも、外のプレハブ倉庫
にあふれるほどあった。

ガレージ 保管車両
裏庭のガレージの脇に建てられたビニール製の簡易車庫の中の様子。レストアを待つ70年式R100(左)
と73年式RX-3(右)があった。RX-3はSCCAのITA(改造車Aクラス)のレース車両で、非常に珍しい
という左ハンドルの5速トランスミッション仕様。2台の上には棚が作られてパーツ類が山積みになって
いたが、これでは倉庫自体を解体しないとクルマが出せないのではないかと心配になってしまった。



 オーバーホールした13B型REは実に快調で、公称車重1240kgにもかかわらず実に軽快に走る。積載量も「700kgくらいは平気だね」とのことだ。トラックをトラックとして使用して、華美な装飾をしていない姿は、まさに実用車のあるべき姿と言えようか。」

「手を加えられずオリジナルのままで動かなくなっているクルマに、また息を吹き込むのが楽しい」とタウザーさんは言う。どこかに古いマツダロータリーが眠っていないかと、草の根を分けるようなクラッシックロータリー探しを続けている。

 これまでに所有した(運転した)のは、R100が2台、RX-2が3台、RX-3が6台、RX-4が2台、初代RX-7が7台、2代目RX-7が2台、ロータリーピックアップが4台と、並々ならぬ数。パーツ取りや完成しないまま手放したものは40台を超えるそうだ。タウザーさんは歴代マツダRE車のほとんどとかかわってきたことになる。

マツダロータリーピックアップ 外観
75年式ロータリーピックアップ。4灯ヘッドライトでフォード・クーリエとの差別化を図り、さらに
ロータリーピックアップではホイールハウスにフレアが付けられたことが特徴的。

エンジン本体 13B型ロータリー
乗用車と何ら変わりのない13B型REが搭載されている。5年前にエンジンはレストア済み。キャブレ
ターには懐かしい日立のマークがはっきりと確認できた。



掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年10月号 Vol.147(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text & photo:Masui Hisashi/増井久志

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