スポーツインジェクションで、ストレスなく普段使いができるチューンドへ|1972年式 スカイライン HT 2000 GT Vol.3

増大した出力を存分に活かすため、安定志向のパーツセレクトを展開。

       
【1972年式 スカイライン HT 2000 GT Vol.3】

 ハコスカ・オーナーのライフスタイルの中で「いかに愛車と濃密な時間を過ごすか」にコダワったクルマ作り。ローリスクで長く付き合えるクルマ作りが方針として定まり、その中でボディのオールペンを実施。そして機関系のチューンナップへと進んでいった。

【2】から続く

 オーバーホール時期をうかがっていたエンジンは、鍛造ピストン、I断面コンロッド、削り出しフルカウンタークランクなどで構成する亀有のキットを組み込み、L28型改3.1Lに発展。パフォーマンスアップだけでなく、耐久性を重視したセレクトであるのがポイント。

 圧縮比も12.0へとハイコンプ化を図るが、同時に77度カムやビッグバルブを組み込むことで、高回転での痛快な伸びとパンチを強調する。ただし、ミッションがノーマルの現状では吹け切るのが少し早いので、今後は最高速を意識したギア&ファイナルのセレクトが課題となりそうだ。

HKSのFコンVプロバージョンで制御されたエンジンや、専用ブラケットによりエンドレス4ポットキャリパーφ270mmローターなどを装着したフロントブレーキなど【写真27枚】


 一方、ストレスなく普段使いができるチューンドにするため、作り手であるワイズ・スタイルがこだわったのがスポーツインジェクションの採用。

 キャブ用のインマニが使えるTWNφ50mmスロットルボディを用いて、HKSのFコンVプロバージョン3.3で制御。

 スロットル補正や水温補正といった各補正マップが充実していて、気候や気温の変化に左右されることなく、安定性を確保できるのが強みだ。さらに失火の減少が期待できるダイレクトイグニッションシステムにも注目。
 
 高度な制御だけでなく、トラブル回避を促すツールとして、最新のパーツも積極的に取り入れているのだ。




ワイズ・スタイルのオリジナル車高調は、ストローク不足を緩和するためにフロントに倒立式を採用する。





リアも車高調はオリジナル。バネレートはフロント8kg/mm、リア16kg/mm。タイヤのスペックに合わせた減衰特性とレート設定になっている。





ワイズスタイルでは、パイプ径も厳選し、軽量なチタンで高効率なフルエキゾーストシステムをいずれ製作したいと考えている。現在のところ、エキゾーストはパーツアシストのステンレス製が組み込まれていて、タコ足はφ45mmの6-2タイプ。


1972年式 スカイライン HT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:全塗装(ブラック)、マーシャル製ヘッドライト、ローレル用サイドマーカー
●エンジン:L28型改3.1Lスポーツインジェクション仕様、ボアφ89mm×ストローク83mm(3097cc)、圧縮比12、亀有製3.1Lキット/鍛造ピストン/DRAG I断面コンロッド/削り出しフルカウンタークランク/カム(77度/バルブリフト14.7mm、カムリフト10.0mm)/ビッグバルブ(INφ46mm、EXφ38mm)/レース用シートリング/SPLバルブスプリング/クロモリリテーナー/ツインアイドラー/大容量オイルポンプ、オーバーサイズクランクキャップ、メインキャップラインボーリング
●点火系:R34GT-R用スプリットファイア製ダイレクトイグニッション
●吸気系:TMW製φ50mmスロットルボディ、スポーツインジェクション、φ50mmインレットマニホールド
●制御:HKS製F-CON VPro 3.3
●排気系:φ45mmオリジナルステンレスマニホールド&ストレートマフラー
●燃料系:ボッシュ製フューエルポンプ、サード製レギュレレーター、75Lステンレス燃料タンク
●冷却系:亀有製アルミラジエーター、HKS製オイルクーラー
●駆動系:ORC製ツインプレートクラッチ、亀有製強化フライホイールボルト、ニスモ製強化ピポット
●サスペンション:オリジナル車高調(倒立式)
●ブレーキ:(F)エンドレス製キャリパーキット
●インテリア:ダッツンコンペステアリング&シート、デフィタコメーター&追加メーター(水温、油温、油圧、排気温度、燃圧、圧力)、東名製A/Fメーター、
●タイヤ:アドバン ネオバ(F)195/55R15 (R)225/50R16
●ホイール:ボルクレーシングTE37V (F)15×7.5J -6(R)16×9.0J -20
●その他:オリジナルエアタンク&オイルキャッチタンク


【4】に続く


初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 スカイライン HT 2000 GT(全4記事)

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text : HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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