パーツのストックも資料も、もはや専門店並みの豊富さ|1967年式 トヨタ 2000 GT Vol.5

栄光のトヨタ2000GTを2台維持するのにふさわしい、広大な敷地に建つガレージという名の秘密基地!

       
前期233台、後期118台。合計351台しか生産されなかったトヨタ2000GT。最近は市場価格も高騰しており、モディファイなどを施すことなく、オリジナルのままをキープしようとするオーナーが圧倒的に多いのがトヨタ2000GTだ。だがそんな貴重なモデルをベースに、歴史的ストーリーの復活を目論むべく、大胆なまでに手を加えた驚愕の1台が出現した。「夢のクルマ」がアメリカで見た壮大な夢のかけらを、今、この日本で再現してくれることに感謝しつつ、その全貌を追ってみたい。

【1967年式 トヨタ 2000 GT Vol.5】

【4】から続く

 クルマの取材、特にカバーカーの取材ともなれば、どこで撮影するかにも苦心するのが一般的だが、今回は走行シーン以外のすべてをAIさんがいつも愛車を置いているガレージで行うことができた。つまり、笑っちゃうほど敷地が広かったのだ(笑)。

過去に1台、現在もSCCA仕様のほかにもう1台所有と、合計3台の前期型トヨタ2000GTと過ごしてきたオーナーなど【写真41枚】

 ガレージを建てたのは12年ほど前のこと。所有するクルマの台数が増えてきたことから、4階建てのビルが建っていた500坪の敷地をいったん更地にし、改めて120坪のガレージを建てたそうだ。ガレージが建っていない残りの380坪にはパーツ保管用のコンテナなどが置かれ、それでも余裕であまっている駐車スペースを利用して、トヨタ2000GTの撮影を行わせていただいたわけだ。

 ガレージ自体の外観は、ガルバリウム鋼鈑を貼った上にレンガを積み重ねた構造となっており、耐久性とクラシカルなイメージの両立が図られている。巨大なシャッターを開けて中に入れば、左側に2台のトヨタ2000GTとワーゲンを、2階につながるエレベーターと周囲のキャビネットには数多くのパーツや資料を並べる配置に。

 パーツの1つひとつをじっくりながめていくと、今回の2000GTから降ろされた3M型エンジンのブロックをはじめ、新品パーツや当時物の資料が山のように積まれていて、まさにここが「宝の山」であることを実感!  

 クルマ好きならだれもがあこがれてしまう夢のガレージを、ほんの一部ではあるが公開してくださったので、何かの参考にしてもらえれば幸いだ。




レンガを貼った壁と2つの大型シャッターが目を引くガレージの外観。しかも、120坪という広さはもはや個人のガレージというよりも、ショップといったほうがピンとくるかもしれない。現在、敷地内に洗車場を作る計画もあり、その充実ぶりはまだまだ進化の歩みを止めずにいる。




ガレージに向かって左側がトヨタ2000GTの指定席。今回取材させていただいたシェルビーレプリカを中央に、右には2オーナー&フルノーマルの前期型2000GTを、左にはオーバルウインドーのVWタイプⅠが陣取る




奥側の黄色い金網の中には階段がある。「らせん」ではなく、S字カーブの連続というデザインにもAIさんの遊びゴコロがにじむ


1967年式 トヨタ2000GT(MF10)
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:シェルビーアメリカンカラー(ラッピング)、フロントT字グリル&バンパーレス、ワンオフフロントアンダーパネル、フォグランプカバー&ウインカーレンズフィルム貼り、前期ルック後期ミラー、リアオーバーライダーレス
●エンジン:7M型3Lブロック+3M型ツインカムヘッド&インテークマニホールド
●点火系:永井電子機器イグニッションコイル/MDIユニット
●吸排気系:ミクニソレックス44PHH×3、クライスジークワンオフ6-2-2ステンレスタコ足&メガホンマフラー
●冷却系:ワンオフ3層ラジエーター、リザーバータンク追加、6枚羽根電動ファン、オイルクーラー交換&ライン引き直し
●駆動系:後期用5速ミッション載せ換え、OS技研製強化クラッチ&スーパーロックLSD
●サスペンション:ワンオフビルシュタイン車高調
●ブレーキ: (F)マツダRX-8用ローター/キャリパー/マスターバック/タンデムシリンダー
●インテリア:シンプソン4点式ハーネス、4点式ハーネス固定用バー
●タイヤ:ブリヂストンレグノGR9000 185/65R15
●ホイール:純正マグネシウム風ワンオフ15×6J、ワンオフシェルビーアメリカン風ノックオフスピンナー

初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 トヨタ 2000 GT(全5記事)

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text : RYOICHI IGAWA/井川了一 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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