鳴り物入りでデビューした「ハコスカGT‐R」を抑えて1位でゴール。しかし・・・|1967年式 トヨタ 1600 GT Vol.2

レストアが施されているため、コンディションは抜群の1600 GT。「アローライン」と呼ばれた傾斜したフロントノーズが好評だった。

       
【1967年式 トヨタ 1600 GT Vol.2】

【1】から続く

 初陣となったレースは、1966年3月に開催された「第4回クラブマンレース」で、この時はプロトタイプモデルとして「トヨタRTX」という名でエントリー。優れた操縦性や空力特性、軽量&ハイパワーにより、デビューウインを飾っている。さらに、1967年の「鈴鹿12時間耐久レース」では、ライバルを抑えて見事にワン・ツーフィニッシュを決めた。1600GTの名で発売後の1968年「日本グランプリ」では、王者プリンス・スカイラインGT‐Bを撃破するなど、ツーリングカーレースを席巻した。

 1969年の「JAFグランプリ」では、鳴り物入りでデビューするスカイラインGT‐Rと対決することになった。予選から1600GTは好調で、決勝レースでもGT‐Rを抑えて先にゴールのチェッカーを受けた。ところが、日産側から走路妨害があったという抗議があり、1600GTは1周減算の3位という判定が下り、惜しくもGT‐Rに優勝を譲るカタチとなった。

 レースでの輝かしい実績を誇る1600GTではあったが、1968年9月にベースとなっていたコロナが、新シリーズのコロナマークⅡにモデルチェンジ。そのため、1600GTは、わずか13カ月のみの生産で打ち切りとなった。


トランクの両サイドには、RT50と同様に、ドアを閉める際に空気が抜けるようにフラップ付きのクオーターベンドダクトカバー。そしてリアバンパーの裏側のボディに設けられているクオーターベンドのエアアウトレットダクトなど【写真18枚】




エンジンルームには、トヨタ初の4気筒DOHCエンジンで、1600 GT専用となる9R型を搭載。バルブ挟み角が広い設計のため、ヘッドが大きく見えるのが特徴。




キャブはソレックス40PHHを2連装。スペースが狭いため、エアクリーナーは独特の形状が採用されている。





本来はOHVの4R型用のエンジンルームに、DOHCヘッド+ソレックスキャブを2連装した9R型を搭載したことで、ブレーキマスターバックが助手席側に移動された。



1967年式 トヨタ 1600 GT(RT55)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4125mm
全幅 1565mm
全高 1375mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前/後 1290/1270mm
最低地上高 180mm
室内長 1530mm
室内幅 1290mm
室内高 1125mm
車両重量 1030kg
乗車定員 4名
最高速度 175km/h
登坂能力 sinθ0.470
最小回転半径 4.95m
エンジン型式 9R型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 1587cc
ボア×ストローク 80.5×78.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 110ps/6200rpm
最大トルク 14.0kg-m/5000rpm
燃料供給装置 ソレックス40PHH×2
変速比 1速.3.143/2速 1.636/3速 1.179/4速 1.000/5速 0.844/後退 3.238
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 45L
ステアリング形式 リサーキュレーティング・ボール
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル独立懸架/半楕円非対称板バネ
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45S-14-4PR
発売当時価格 100万円

【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 08月 Vol.170 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 トヨタ 1600 GT(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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