「価値も分からなかったので、ボンネットを滑り台代わりにしてましたよ」44年間の思い出とともに、走り続ける。|1968年式 トヨタ 2000 GT Vol.3

これまで、大きな事故にはあっていないという2000GT。父親が右フロントをブツけて板金したことがあったそうだが、ドアやボンネットの開閉なども違和感なし。

       
【1968年式 トヨタ 2000 GT Vol.3】

【2】から続く

 今回紹介する2000 GTは、ソーラーレッドの1968年式。オーナーによれば、父親が購入し、その後44年間所有しているクルマだそうだ。

「1971年に、東京の環八にあるクルマ屋さんに2000 GTの中古車があると聞いて、岡山から買いに行ったんです。帰りは買った2000 GTに乗って、自走で岡山まで帰ってきました。できたばかりの東名、名神高速を走り、神戸からはまだ高速がなかったと思うので、下道を走ったんじゃないですかね。当時、私は5歳でしたが、妹がいて家族4人でトヨタ2000 GTに乗ってドライブにも行きました。助手席の足元やラゲージスペースに乗ってですよ。その頃は価値も分からなかったので、ボンネットを滑り台代わりにしてましたよ」と子供の頃の思い出を語ってくれた。現在は、父親から引き継いで面倒を見ているようだが、一時、車庫に入れっぱなしの状態となっていたそうだ。

「ボディは、20年ほど前にオールペイントしているんですが、あまりキレイじゃなかったので、2年前にもう1回塗装しました。その時、下回りを見てもらったところかなりグスグスになっていて、4L缶1杯くらいサビが出ました。あと、最近、純正キャブをOHしてもらったところ、今までにないくらい調子が良くなって感激しています」。

 一時は大切にしてくれる人に譲ることも考えたそうだが、44年間の思い出とともに、オーナーと走り続けている。

OWNER’S VOICE/小さい頃は滑り台にしてました



「5歳の頃に父親が中古の2000 GTを買ってきたんです。一家4人なんですが、当時は2000 GTしかなかったんで、普通に使っていましたし、滑り台代わりにして遊んでいました。父親が乗らなくなった頃に、サビ止めを塗って保管しようというんで、それなら大切にしてくれる人に譲ったほうがいいと話しましたが、今は私が面倒を見ています」とオーナー。高速のSAなどで人が集まるのがテレくさいそうだ。



子供の頃に家族で撮影したスナップ(この後、弟が生まれている)。

ガレージ前のレンガは父親の特注で、名前が刻まれている。同様に父親のアイデアでつくられた、2000 GTを模したカラーレンガのガレージフロアなど【写真23枚】




半世紀が経つ今も、国産車随一の美しいプロポーションを誇るトヨタ2000 GT。2年前に塗装した際、グズグズの下回りのサビを落としたが、機関や駆動系は44年前のままで、快調そのもの。



1968年式 トヨタ 2000 GT(MF10)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1160mm
ホイールベース 2330mm
トレッド前後とも 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 720mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1120kg
乗車定員 2名
最高速度 220km/h
登坂能力 sinθ0.567
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps/6600rpm
最大トルク 18.0kg-m/5000rpm
燃料供給装置 ソレックス40PHH×3
変速比 1速 3.143/2速 1.636/3速 1.179/4速 1.000/5速 0.844/後退 3.238
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式.ラック&ピニオン
サスペンション前後とも ダブルウイッシュボーン・コイル独立懸架
ブレーキ前後とも ディスク
タイヤ前後とも 165/HR15
発売当時価格 238万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 08月 Vol.170 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ 2000 GT(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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