リトラクタブルヘッドライトとフォグランプの組み合わせ。2000 GT独特のフロントノーズデザイン|1968年式 トヨタ 2000 GT Vol.2

フロントノーズが低いため、ヘッドライトの高さを確保するために採用された日本車初となるリトラクタブルヘッドライト。ヘッドライト自体もスチール製で重いためか、意外とゆっくり持ち上がる。「たまに片側が上がりきらないこともある」そうだ。

       
【1968年式 トヨタ 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

 ロングノーズ&ショートデッキという当時のスポーツカーの法則にのっとったデザイン、そしてボディ全面を流麗な曲線で描くことで、美しいスタイリングが実現している。また、ヘッドライトの高さを確保するため、リトラクタブルタイプを採用しつつ、フォグランプも装備したフロントノーズのデザインは、2000 GT独特のものだ。

 動力性能に関しても、当時の世界トップレベルを誇っていた。1966年の「鈴鹿1000kmレース」ではワンツーフィニッシュを飾り、翌年の「鈴鹿500kmレース」で優勝、「富士24時間レース」では、スポーツ800とともにデイトナフィニッシュを飾った。また、世界レベルのポテンシャルであることを証明したのが、1966年10月1日から4日にかけて国際記録樹立のために行われた「スピードトライアル」だ。途中で台風に見舞われるなど過酷な条件下ではあったものの、見事に3つの世界新記録と13の国際新記録を樹立し、ヨーロッパの一流メーカーを驚かせた。

 スピードトライアルと同じ頃、もう1つのビッグプロジェクトが進んでいた。映画「007は二度死ぬ」に使われることになり、急きょオープンモデルをわずか14日間で製作。映画の中でも大きなインパクトを残すことになった。


キャブトンタイプが2本並ぶ独特なスタイルのマフラー。ツヤなしで、外枠のみメッキ仕上げとなっているテールランプ回り。当時のままのテール回りやサイドマーカー、バンパーなど【写真21枚】




44年間、ノンOHで現在も快調な3M型エンジン。点火系のフルトラ化とキャブOHによって、「これまでで1番調子がイイ」そうだ。





ラジエーターは冷却水が漏れたため、アルミ製に交換。点火系もファインチューンが施されているため、始動時から安定している。





左側のサービスリッドを開くと、純正エアクリーナーとウオッシャーバックが納められている。本来はタンク形状だが、実用性には問題なし。



1968年式 トヨタ 2000 GT(MF10)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1160mm
ホイールベース 2330mm
トレッド前後とも 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 720mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1120kg
乗車定員 2名
最高速度 220km/h
登坂能力 sinθ0.567
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps/6600rpm
最大トルク 18.0kg-m/5000rpm
燃料供給装置 ソレックス40PHH×3
変速比 1速 3.143/2速 1.636/3速 1.179/4速 1.000/5速 0.844/後退 3.238
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式.ラック&ピニオン
サスペンション前後とも ダブルウイッシュボーン・コイル独立懸架
ブレーキ前後とも ディスク
タイヤ前後とも 165/HR15
発売当時価格 238万円


【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 08月 Vol.170 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ 2000 GT(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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