1964年製! 市販車としては史上最大のアバルトも展示|イタリア国立自動車博物館 Vol.2

フィアットが1954年に試作したガスタービン試験車「トゥルビーナ」は、この博物館の象徴的存在。

       
【イタリア国立自動車博物館 Vol.2】

【1】から続く

 イタリアのモータウン、トリノ市街地の美しいロケーションにある国立の自動車ミュージアム、イタリア国立自動車博物館。

 トリノ・ポルタヌォーヴァ駅や、かつてのフィアット工場を改造した巨大商業施設「リンゴット」からも近い、都会的な環境にあるこの巨大なミュージアムは、展示車両の数・質ともに最上級を誇る。これが国立であることにも驚かされるが、それ以上に感嘆したのは「芸術の国」イタリアにふさわしい、素晴らしい展示スタイルだった。

 GPマシンだけを例にとっても、イタリアの文化遺産ともいうべき第二次大戦前のアルファロメオP2から戦後のアルフェッタ159。歴代のフェラーリF1たち。外国勢でもブガッティT35やドラージュV12、そしてメルセデスW196などの世界的な至宝の数々が、巨大スクリーンやレーザーを巧みに使用したアート的な手法で展示され、ギャラリーを圧倒する。

 またレーシングカーのみならず、フィアット500のようなベーシックカーから、ロールス・ロイスやイソッタ・フラスキーニなどの高級車に至るまで、自動車史を彩ってきた名車・珍車の数々が、それぞれの時代背景に合わせたブース内に陳列されている。
 そしてすべてが、あたかもモダンアート美術館のようにディスプレーされているさまは、イタリアにおける自動車が「芸術」として認知されていることの、何よりの証しなのかもしれない。


1980〜90年代のWRCを完全制覇したランチア・デルタHF。市販車としては史上最大のアバルトであるフィアット・アバルト2400アレマーノなど【写真30枚】



アルファロメオ快進撃の端緒となったP2には、特別なコーナーが用意。





1953年「カレラ・パナメリカーナ」にて1-2-3フィニッシュを達成したランチアD24。





イタリアのお家芸であるグランツーリスモのデザインの変遷。手前は1960年代初頭のアルファロメオ2600スパイダー。中央はマセラティ・セブリング。奥はフェラーリ458イタリア。


MUSEUM PROFILE

トリノ屈指の観光施設の1つで、カフェやグッズショップも充実。トリノ中央駅ポルタ・ヌォーヴァからはバスやタクシーを利用するが、散歩がてら徒歩で行くのもアリだろう。


Museo Nazionale dell’Automobile
住所:Corso Unità d’Italia, 40, Torino, イタリア
TEL +39 011 677666 FAX +39 011 6647148
料金 : 5.50ユーロ 月曜・火曜休館
開館時間 : 10時~18時30分(水曜~土曜)
     10時~20時30分(日曜)
行き方 : バス 34番、35番、17番 トラム(路面電車) : 1番、18番
http://www.museoauto.org



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

イタリア国立自動車博物館(全2記事)

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text & photo : HIROMI TAKEDA/武田公実

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