創成期「馬なし馬車」と呼ばれた特権階級の自動車から、大衆の足「ムルティプラ」まで|イタリア国立自動車博物館 Vol.1

戦後イタリア大衆の足となったフィアット600ムルティプラは、夏のヴァカンツァ的な情景を演出。

       
【イタリア国立自動車博物館 Vol.1】

 イタリア国立自動車博物館(Museo Nazionale dell‘ Automobile)、通称MAUTO。

 イタリア国立自動車博物館は、自動車文化の先進国の1つであるイタリア。そのイタリアのモータウン、トリノ市街地の美しいロケーションにある国立の自動車ミュージアム。そのコレクションは歴史的グランプリマシンから大衆の足となったベーシックカーまで、質・数ともに世界屈指のレベルを誇っている。

 トリノ市内を流れるポー川左岸に位置するこの博物館は、フィアット社共同設立者の1人であるロベルト・ビスカレッティ・ディ・ルッフィア伯爵のコレクションから始まったもので、その歴史は1932年、つまり。日本でいえば昭和7年まで遡ることができるという。これは、世界でも最も早く創立された自動車博物館の1つとされている。

 その後、息子であるカルロ・ビスカレッティがコレクションを格段に充実させる一方、1960年には建築家アメデオ・アルベルティーニによる現在の建物が完成。中興の祖の名を冠した「カルロ・ビスカレッティ自動車博物館」として公開され、長らく世界中の自動車愛好家たちを楽しませてきた。そしてイタリア建国150周年を迎えた2011年に、もとの建築を生かしつつも大改装が行われ、新たに「国立自動車博物館」としてリニューアル。当代最新のミュージアムとして、世界的な話題を集めているのである。


「馬なし馬車」と呼ばれた自動車創成期のベテランカーなど【写真30枚】



1910年代「エドワーディアン」と呼ばれる時代、あるいは1920年代を中心とするヴィンテージ期には、自動車という乗り物が特権階級だけのものであったことが示されている。




1941年のジープは、戦場をイメージした展示とされる。

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text & photo : HIROMI TAKEDA/武田公実

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