13Bペリ、FD用シーケンシャルドグ、F1キャリパー。|1971年式 マツダ カペラロータリクーペ GS  Vol.3

フロントフェンダーやボンネット、トランクといった外装パーツはFRP製にすることで、大幅に軽量化。当時のワークスマシン風に仕上げたオーバーフェンダーやフロントスポイラーは、同じカペラロータリーに乗る北海道のプライベーターが製作したモノ。幸運にも型が残っていたので、お願いして製作してもらったそうだ。

       
【1971年式 マツダ カペラロータリクーペ GS  Vol.3】

【2】から続く

 ヒストリックカーレースを楽しんでいるオーナーが、「表彰台を狙えるクルマを……」としてベース車探しをした結果、たどり着いたのがカペラロータリークーペ。しばらくはノーマルのまま街乗り用として使用していたが、マツダのロータリーエンジン搭載車の生産を中止のアナウンスを聞き、本腰を入れてレース仕様の製作に着手した。心臓となるエンジンは、ペリフェラルポート仕様の13B型ユニット。NAながら240〜250psを発揮する。

 もちろん駆動系の強化も抜かりなく、ミッションはFD3S用のシーケンシャルドグを流用。ホーシングやデフキャリア、ドライブシャフトはSA22Cターボ用を移植し、足回りは構造そのものから見直している。さらにF1用のブレンボ製モノブロックキャリパーやナイトロン製の3ウェイ車高調、AIMのデータロガー付きマルチメーターなど、世界の最新となる逸品パーツを惜しみなく投入していったのだ。

 その内容だけ見てもかなりの入魂ぶりがうかがえるが、さらに見逃せないのはワークス風のオーバーフェンダーと絶妙なマッチングをみせるホイール。なんとこの1台のためだけにデザインされたフルオーダーメイド仕立てという。

 というわけで、エンジンから足回り、ホイールまで、こだわりを凝縮したカペラロータリー。今回のシェイクダウンとなったテストでも、突き抜けるような快音をサーキットに響き渡らせていた。今後のさらなる進化も楽しみだ。

OWNER’S VOICE

 サーキット歴は22年。ライフワークとしてサンデーレースを楽しんでいるオーナー。このカペラロータリーのほか、ジネッタG15やヒルマンインプレーサー、ロータス・エラン、ランダーR6など数多くのヒストリックカーを所有しているそうだ。「体力が続く限りヒストリックカーレースを楽しみたいですね」と語ってくれた。



クイックリリース式のボスで装着されるモモのステアリング。十分な耐久性と素早いシフトチェンジを実現したFD3S用の6速シーケンシャルドグを流用したミッションなど【写真35枚】




カーボンパネルに違和感なく収められたAIM製のMXLデジタルメーターは、データロガー機能付き。走行後に車両の状態や走りを確認できる優れモノ。こうした最新パーツを惜しみなく投入しているのが特徴。また、手前のダイアルはブレーキバランサーで、走行中にブレーキバランスを微調整できる。クイックリリース式のボスで装着されるステアリングはモモの3本スポーク。





ダッシュボードに整然と埋め込まれたヒューズ&スイッチ類がレーシーな雰囲気。





ドライカーボンのレカロ製フルバケットシートは、アウディのレース車両で使用されていた逸品。インターネット上のサイトで偶然見つけて入手したとか。軽量化のために内装やアンダーコートはすべて取り払われている。

【4】に続く

1971年式 マツダ カペラロータリクーペ GS(S112A)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:FRP製フロントスポイラー、ボンネット、フロントフェンダー、オーバーフェンダー、トランク、リアスポイラー
■ エンジン:13B型改ペリフェラルポート仕様、カーボンセラミック1ピースアペックスシール、圧縮比9.7、輸出用ローター、ウエーバー48IDA改φ51.5mm、MEXC-Sワンオフエキマニ、ステンレスマフラー、社外インダクションボックス、
■ 冷却系:RX2用アルミ3層ラジエター、セトラブ製大型オイルクーラー、MOCAL製オイルキャッチタンク
■ 点火系:永井電子製機器ウルトラMDI
■ 燃料系:ATL製製安全タンク、燃圧レギュレーター、コレクタータンク、ボッシュ・燃料ポンプ
■ 駆動系:HKS製シングルクラッチ、HKS製シーケンシャル6速ドグミッション(FD3S用)、SA22C用デフキャリア(ファイナル4.44)、ドライブシャフト流用
■ 足回り:ナイトロン製3ウェイ車高調(F)12kg-mm (R)10kg-mm、フルピローボール化、特注フロントロアアーム、リアスタビライザー追加
■ ブレーキ:(F)ブレンボ製モノブロック6ポットレーシングキャリパー(トヨタF1用)、φ280mm軽量ローター (R)AP製2ポットキャリパー、AP製マスターシリンダー&ブレーキバランサー
■ タイヤ:フージャー スポーツカーDOTラジアルA6 (F)235/45ZR13 (R)255/40ZR13
■ ホイール:ワーク特注アルミホイール (F)13×8.5J-9 (R)13×9.5J-22
■ 内装:AIM製フルデジタルメーターMXL、レカロ製フルバケットシート(アウディ用フルカーボン仕様)、シュロス製6点式フルハーネス、モモ製ステアリング



初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 マツダ カペラロータリクーペ GS (全4記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : RYOUTA-RAU SHIMIZU/清水良太郎

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