市販車の素質の高さが重要なグループA車両。そのベース車|1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.2

ラリーの日産 その復権をかけて、開発されたコンペティションモデル。

       
【1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.2】

【1】から続く

 GTI-Rが搭載するのは、230ps/29.0kg‐mを発生するSR20DET。そのハイパワーを確実に路面に伝えるため、駆動方式はフルタイム4WDを選択。この4WDシステムは「アテーサ」と呼ばれるもので、ビスカスカップリング式センターデフを採用し、エンジンパワーを最適な比率で前後タイヤに配分してくれる機構。これにより、4WDで顕著に生じるアンダーステアを軽減し、優れた旋回性能を実現。ハイパワーエンジンと組み合わせることで、圧倒的なポテンシャルを発揮する。

 その驚くべき運動性能は、エクステリアからも伺い知ることができる。ボンネットには走行風を効率よく取り入れるためのエアインテークとフードルーバーを装備。ルーフ後端には、ダウンフォースを稼ぐための大きなスポイラーも装着され、タダ者ではない雰囲気を醸し出しているのだ。

 もちろんこれらのメカニズムは、すべてWRC参戦を前提として開発されたもの。大幅な改造が認められないグループA車両は市販車の素質の高さが重要。それゆえ、ありとあらゆる機構が盛り込まれた。また、常勝中のランチア・デルタと同等のパッケージングを採用したことで、WRCでの期待も高まった。

開口部を大きくし、冷却性能の向上を目指したバンパーなど【写真17枚】




大型インタークーラーが目を引く。SR20DET型は大型タービンやクーリングチャンネル付きピストンなどがおごられ、モアパワー&耐久性向上を実現。




ボンネット上にエアインレットがあるため、裏側はこのような状態。ちなみに、左右のルーバーは内側にフタが付いているが、グループA競技車両では外して、エアアウトレットとして機能させる。




各気筒の吸気ポートそれぞれにスロットルバルブを備えた4連スロットル。スロットルバルブからシリンダーまでの距離を短縮でき、レスポンスも向上。


【3】に続く


1991年式 日産 パルサー GTI-R(RNN14)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3975×1690×1400
ホイールベース(mm)  2430
トレッド前/後(mm) 1440/1415
車両重量(kg)  1230
エンジン型式  SR20DET型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.3:1
最高出力(ps/rpm) 230/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 29.0/4800
変速比 1速 3.285/2速 1.850/3速 1.272/4速 0.954/5速 0.740/後退 3.266
最終減速比 4.125
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/55R14(前後とも)
発売当時価格 229.4万円


初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 日産 パルサー GTI-R (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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