ラリーの日産 その復権をかけて、開発されたコンペティションモデルとそのオーナー|1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.1

オーナーが付けていたこのネックレス、じつはGTI-Rを模したもの。友人からプレゼントされたもので、お気に入りの一品だとか。

       
【1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.1】

 パルサーGTI‐Rのデビューは、じつに衝撃的だった。なぜなら、コンパクトなボディに格上車のパワートレーンを詰め込んだモンスターマシンだったのだから。1987年にWRCの規定がグループBからグループAに移行して以来、主役は4WDターボだった。ランチア・デルタやトヨタ・セリカ、マツダ323(ファミリア)などがいい例だ。ところが日産は、S12シルビアの北米仕様である200SXで参戦。しかし前述の通り、時代は4WDターボ全盛期で、FR自然吸気の200SXでは善戦するも、勝つほどの戦闘力はなかった。そんな苦境に立たされた日産だったが、WRCでの復権をかけ、1990年に1台の新型車をデビューさせた。それがパルサーGTI‐Rである。

 全長4m弱の2BOXボディには、U12ブルーバード譲りの2L直列4気筒DOHCターボ・SR20DET型を搭載。さらに、ベースエンジンに対して4連スロットルや大型タービン、インタークーラーの容量アップなどを施し、最大ブースト圧も550mmHg(約0.75kg/㎠)まで高められた。その結果、230ps/29.0kg‐mを発生。U12の同型エンジンのスペックが205ps/28.0kg‐mだから、じつに25 ps/1.0kg‐mの向上となったわけだ。

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開口部を大きくし、冷却性能の向上を目指したバンパー。グリル中央のエンブレムは、前期と中期がパルサーの「P」マーク、後期は日産マークとなる。同様、サイドシルスポイラーも標準装備。取材車両はフロントフェンダー後方のサイドマーカーがクリアタイプに交換されていた。





ホイールは懐かしのスプリントハート。オーナーはこのほかに、ノーマルの14インチアルミホイールも所有しているそうだ。





強烈なインパクトを後続車に与える大型ルーフスポイラーは、ダウンフォースを稼ぐのに効果的。




【2】【3】に続く

1991年式 日産 パルサー GTI-R(RNN14)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3975×1690×1400
ホイールベース(mm)  2430
トレッド前/後(mm) 1440/1415
車両重量(kg)  1230
エンジン型式  SR20DET型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.3:1
最高出力(ps/rpm) 230/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 29.0/4800
変速比 1速 3.285/2速 1.850/3速 1.272/4速 0.954/5速 0.740/後退 3.266
最終減速比 4.125
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/55R14(前後とも)
発売当時価格 229.4万円


初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 日産 パルサー GTI-R (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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